今夏のプレミアリーグ移籍市場において、ノッティンガム・フォレストは財政的な制約の中で大きな決断を迫られている。リーグの*利益・持続可能性規則(PSR)の影響を受け、選手の売却が事実上不可避となっているクラブは、戦力維持と補強の両立という難題に直面している。
ギブス=ホワイト放出の可能性とマカティーとの異例のトレード案
ノッティンガム・フォレストの中盤を支えるキープレーヤー、モーガン・ギブス=ホワイトに対して、マンチェスター・シティが関心を寄せているという報道が加熱している。本人もペップ・グアルディオラ監督の下でのプレーを希望しているとされ、クラブとしても強く引き留めるのは難しい状況のようだ。
一方で、フォレストはシティの若き才能ジェームズ・マカティーの獲得を視野に入れており、両者の間でスワップ取引が成立する可能性が浮上している。これはプレミアリーグでは珍しい取引形態であり、実現すればPSR下での資金繰りと戦力補強を同時に達成する、戦略的な一手となる。
元イングランド代表GKポール・ロビンソン氏も、このスワップ案の実現可能性に言及しており、「両クラブにとって利益がある取引」として注目されている。さらに、英『Football Insider』によれば、マカティー自身も来季は新たなチャレンジを望んでおり、フォレストがその受け皿になり得るクラブとして名を挙げられている。
とはいえ、イングランド国内ではスワップディールは極めて稀であり、交渉が難航することは想像に難くない。加えて、マカティーにはウェストハムやクリスタル・パレスも関心を示しているとされ、フォレストが獲得レースを勝ち抜くためには、財政面だけでなく説得力のあるビジョン提示も必要となる。
また、マンチェスター・シティがフロリアン・ヴィルツ獲得に動くとの噂もあり、ギブス=ホワイトの獲得がシティにとって優先度の高い案件かどうかも、事態左右するポイントとなるだろう。ヌーノ・エスピリト・サント監督は明確に強化を望んでおり、補強と放出のバランスをどう取るかが、フォレストの移籍戦略においてカギを握る。
ギブス=ホワイトの後釜候補にリバプールMFハーヴェイ・エリオットの名
ギブス=ホワイトの退団が現実味を帯びる中、ノッティンガム・フォレストはすでに後任候補のリストアップを開始。その筆頭として、リバプールのMFハーヴェイ・エリオットの名が浮上している。
英『Football Insider』は5月9日付で、フォレストがエリオットに強い関心を示していると報道。新監督アルネ・スロットがこの22歳の将来について最終判断を下す前に、複数クラブがその動向を注視しているという。
元スカウトのミック・ブラウン氏も、エリオットがフォレストのトップターゲットであると明かしており、ギブス=ホワイトの売却益をこの獲得に充てる可能性があることを示唆した。
PSRという制約の中で、ノッティンガム・フォレストは賢く、そして大胆な移籍戦略を求められている。マカティー獲得とギブス=ホワイト放出のスワップ案、そしてリバプールのエリオットという将来有望なタレントへの接触——これらはすべて、限られた予算の中でクラブの競争力を保つための布石である。
プレミアリーグ残留、さらには中位以上を狙うためには、この夏の移籍市場での立ち回りが極めて重要になる。フォレストの“リスクを取る賭け”が、吉と出るか凶と出るか。