プレミアリーグの夏の移籍市場が近づく中、若き才能を巡る熱い争奪戦が水面下で着々と進行している。現在、その中心に立っているのが、クリスタル・パレスに所属する20歳のイングランド人MFアダム・ウォートンだ。
昨シーズン、わずか半年でイングランド代表に選ばれるほど急成長したこの逸材に、リバプール、アーセナル、チェルシー、マンチェスター・シティ、ニューカッスルといったプレミアの強豪が熱視線を送る中、最も積極的な動きを見せているのがマンチェスター・ユナイテッドだと、英『Caught Offside』が報じた。
ユナイテッドがウォートンに本腰を入れる背景には、ルベン・アモリム監督の存在がある。クラブ内部の関係者によれば、アモリムはウォートンの大ファンであり、彼を新たなチーム構想の中核として考えているという。
中盤の構成に悩まされているユナイテッドでは、カゼミーロやエリクセンといったベテラン勢が衰えを見せ、コビー・メイヌーの成長も不確実性を孕む中、ウォートンのようなビルドアップとボール前進に長けたセントラルMFの補強は急務となっている。
クリスタル・パレスでの台頭以来、ウォートンの名は瞬く間に欧州中に知れ渡った。特にプレミアリーグでは、リバプール、アーセナル、マンチェスター・シティといったタイトル争いを演じる常連クラブが彼に関心を寄せており、すでに獲得調査に着手しているとも噂されている。
さらに、チェルシーやトッテナム、ニューカッスルといったクラブもリストアップ済みで、プレミア勢による熾烈な争奪戦が今夏の市場で展開されることはほぼ確実。
ただし、現時点でクリスタル・パレス側からウォートンに対する新契約の正式オファーは出されておらず、交渉も始まっていない模様。状況次第では一気に移籍が加速する可能性も否定できない。
レジェンドが太鼓判、「第二のキャリック」の系譜を継ぐ存在
ウォートンの評価をさらに高めているのが、元ユナイテッドの守備の要、リオ・ファーディナンドの存在だ。YouTubeチャンネルにおいて、「私なら彼を獲得しに行く」と断言。ウォートンのボールキャリー能力、ビルドアップ、そして広範なパスレンジを称賛したうえで、「彼はマイケル・キャリックを思い起こさせる存在だ」とも述べている。
プレッシャーをいなすファーストタッチ、リズムを生む縦パス、そしてポジショニングセンス。キャリックがかつて見せた中盤支配のスタイルと重ね合わせて、ファーディナンドは「彼こそが未来のユナイテッド中盤の核になれる」と評価している。
今夏のユナイテッドは、中盤の刷新に大きく舵を切る方針を掲げており、ウォートンの獲得はその第一歩となり得る。だが、その道のりは決して平坦ではない。
ライバルであるリバプールも、中盤にさらなる厚みを加えようとしており、マック・アリスターやソボスライとの共存を視野に、イングランド人の才能ある司令塔に関心を示しているとされる。アルネ・スロット新監督のスタイルにも適合しやすいタイプだけに、獲得に動いてくる可能性は否定できない。
21歳の若き司令塔アダム・ウォートンを巡り、今夏の移籍市場ではプレミアリーグの強豪たちが熾烈な争奪戦を展開することになりそうだ。アモリム体制のユナイテッドが中盤の未来を託すのか、それともリバプールやシティといったライバルが一歩先を行くのか。