プレミアリーグで賢い補強術を体現してきたブライトンが、今夏の移籍市場で再び動きを見せている。『The Athletic』デイビット・オーンスタイン記者によれば、ターゲットとなっているのは、ボタフォゴに所属する21歳のブラジル人左SB、ルイス・エドゥアルド・ソアレス・ダ・シウバ、通称「クイアバーノ」だ。
クイアバーノは元々グレミオで頭角を現し、2024年にボタフォゴへと完全移籍。契約は2027年6月まで残っているが、すでにヨーロッパ複数クラブのスカウトが彼の動向に目を光らせている。1月にはフェネルバフチェが獲得に動いたものの、ボタフォゴはこれを拒否していた。
ポジションは主に左サイドバックだが、左MFとしての起用も可能な万能型。今季は公式戦19試合に出場し、2ゴール3アシストを記録。堅守だけでなく、積極的なオーバーラップやクロス精度にも定評がある。すでにボタフォゴで通算49試合に出場しており、1995年以来のセリエA制覇にも貢献するなど、若くして“勝者のメンタリティ”を身につけつつある。
ブライトンはここ数週間で、クイアバーノに対し2度の正式オファーを提示。1回目のオファーは、420万ポンド+170万ポンドのアドオン。2回目のオファーは、基本金額は同額ながら、アドオンを250万ポンドに引き上げた。
しかし、ボタフォゴはいずれの提案にも首を縦に振らなかった。クラブは彼を将来の柱として見ており、安売りする気は毛頭ない。だが、ブライトンも粘り強く交渉のテーブルに着き続けており、再々オファーの可能性は十分にある。
「育てて売る」ブライトンの成功モデルにフィットする逸材
モイセス・カイセド、アレクシス・マック・アリスター、そして三笘薫。いずれもブライトンがスカウティングで掘り当て、育て、そして世界に送り出してきた成功例だ。クイアバーノもその系譜に連なる原石として、クラブが本気で育成を見据えているのは明らか。
若く、スピードとインテリジェンスを備えた守備者であり、なおかつ攻撃力も申し分なし。プレミアリーグのフィジカルにも対応できるポテンシャルを秘めており、「次のスター候補生」として評価されている。
クイアバーノ一本に絞っているわけではない。エラス・ヴェローナ所属のイタリア人CB、ディエゴ・コッポラにも関心を寄せており、バックラインの総合的な強化を視野に入れているとされる。少なくとも一人のディフェンダー獲得は、今夏の補強リストにおける優先事項だ。
ブライトンの補強戦略は一貫して「賢く、先を読む」ものだ。クイアバーノもまた、その長期ビジョンに合致する存在であり、たとえ2度のオファーが拒否されても諦めるつもりはない。
今後、ブライトンが再オファーを提示するのか、それとも他クラブが介入して争奪戦へと発展するのか。ボタフォゴが態度を軟化させる兆しは今のところ見られないが、欧州移籍は時間の問題との見方もある。
果たして、南米の新星はアメックス・スタジアムの新たな主役となるのだろうか。