来季からふたたびプレミアリーグの舞台に戻るリーズ・ユナイテッドが、この夏の移籍市場で即戦力の補強に動き出している。複数メディアの報道によれば、クラブが関心を寄せているのは、ウェストハム・ユナイテッドで中盤の柱として活躍を続けるトマーシュ・ソウチェクだ。
2020年にスパルタ・プラハから加入して以来、ウェストハムで5シーズンにわたり主力としてプレーしてきたトマーシュ・ソウチェク。プレミアリーグ通算では230試合出場・38ゴールという成績を誇り、守備的ミッドフィールダーながら攻撃面でも存在感を放ってきた。
今季も9ゴールをマークし、直近ではマンチェスター・ユナイテッド戦でネットを揺らすなど、その得点力は健在だ。チェコ代表としても活躍する彼の名は、プレミアリーグで最も成功した中盤プレーヤーの一人として語られることも少なくない。
そんな中、ウェストハムは今夏の移籍市場でソウチェクの売却を容認した模様。グレアム・ベイリー氏によれば、「最大5クラブがソウチェクの獲得に動いており、リーズとエヴァートンが先行している」とのこと。
特にエヴァートンにとっては、デイビッド・モイーズ監督とソウチェクの再会という必然のストーリーもあり得る。一方でリーズは、昇格1年目のチームに安定感をもたらす即戦力としてソウチェクの経験とフィジカルを評価しているようだ。
トマーシュ・ソウチェクは現在、プレミアリーグでのチェコ人選手として最多得点記録(パトリック・ベルガーの39得点)にあと3ゴールと迫っている。報道によれば、ウェストハムはソウチェクに対しておよそ2000万ポンドの移籍金を要求しているという。
ファンの間で評価分かれる移籍金 「高すぎる」「価値ある」声が交錯
30歳のミッドフィルダーに対して高額な評価に対し、リーズ・ユナイテッドのファンからは否定的な声も多い。「30歳に2000万ポンドはあり得ない」「2年契約の平均的なMFにこの金額は非現実的」といった投稿がSNS上に相次ぎ、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)を懸念する声も根強い。
中には「カルバン・フィリップスを安価なローンで連れ戻す方が理にかなっている」といった意見も。過去にリーズを支えたイングランド代表MFの再獲得を求める声も一部で上がっている。
一方、肯定派のファンからは「彼の両ボックスでの貢献は金額に見合う」「今季だけで9ゴール1アシスト。むしろ安い」といった意見も聞かれる。特に今季のニクラス・フュルクルク(ドルトムント)と比較しても、その得点力は見劣りしないという指摘もある。
ダニエル・ファルケ監督が指揮するリーズは、ポゼッションを重視したスタイルを採用しているが、ソウチェクのフィジカル中心のプレースタイルがこの戦術にマッチするかは未知数だ。スタメンでの起用が難しい場合でも、ベンチからの切り札として戦力になるとの見方もある。
若手中心のチーム構成を進める中で、30歳を迎えるソウチェクに高額な投資を行う判断は簡単ではない。リーズがこの夏の移籍市場でリスクを取るのか、あるいはより将来性のある若手に目を向けるのか。
経験と実績を備えた“中盤の鉄人”は、エランド・ロードに新天地を求めるのか。それとも、モイーズ監督のもとで再び輝くのか。