今シーズンは久しぶりの無冠に終わったマンチェスター・シティ。一時代が終焉に近づている印象が強いが、ケヴィン・デ・ブライネの退団が決まり、ベルナルド・シウバやイルカイ・ギュンドアン、エデルソンらこれまでの主力陣にも移籍の噂が絶えない。
世代交代を推し進めるシティは、ACミランに所属するオランダ代表MFタイアニ・ラインデルスの獲得に向けて動き出している。ペップ・グアルディオラ率いるチームは、特に中盤の刷新を目指しており、その計画の中心にこの26歳の“トータルミッドフィールダー”が据えられている。
英『TEAMtalk』によれば、シティはすでにACミランに対して、約6000万ユーロに及ぶ口頭オファーを提示した模様。しかし、イタリアの名門はこの打診を一蹴。ミランはラインデルスに対し、9000万ユーロという高額な評価額を設定しており、現時点でそのスタンスを崩す気配はない。
2023年夏にAZアルクマールから加入したラインデルスは、わずか1年でロッソネリの中核を担う存在に成長。2030年まで契約を残すなかで、ミランは彼を非売品とは位置づけていないものの、クラブの将来像に欠かせない選手と見ているのは間違いない。
ラインデルスの評価はイタリア国内でもうなぎ登りだ。ステファノ・ピオリ前監督は彼を「並外れた選手」と表現。一方で、元インテルDFで名解説者のダニエレ・アダーニも「ミラン最高の選手」と断言。「2人の中盤でプレーしながらも、常にゴール前に顔を出すことができる。量と質を兼ね備え、ポジショニング、タイミング、存在感、すべてがトップレベルだ」と称賛を惜しまない。
こうした高評価に裏打ちされる形で、彼の価値は急上昇。ラインデルスは今季公式戦52試合に出場し、4ゴール4アシストを記録。特にその安定感と万能性は、グアルディオラのサッカーにおいて理想的なピースとなる可能性を秘めている。
シティの次なる一手は? キーマンは“ポスト・デ・ブライネ”
マンチェスター・シティは最初のオファーを拒否されたとはいえ、依然としてラインデルス獲得に向けて交渉を続けている。報道によれば、クラブは次なるオファーとして7000万ユーロ前後の提示を準備しているが、それでもミランの要求額には届かない。
それでも、シティがこの夏に狙う補強のキーワードは“ポスト・デ・ブライネ”。年齢と負傷の影響で以前のような圧倒的な支配力を見せられなくなってきたベルギー代表の後継者を探す中で、ラインデルスは最も現実的なターゲットの一人と目されている。
現時点で公式にオファーを提示したのはシティだけだが、リバプールやアーセナルなど他のプレミア勢もラインデルスの動向を注視しているという情報もある。特に中盤に課題を抱えるリバプールや、マルティン・ウーデゴールとの共演を模索するアーセナルなどは、状況次第で一気に争奪戦に参入してくる可能性もありそうだ。
とはいえ、最も本気度が高いのはシティ。今夏の補強計画の核心として、ラインデルスへの投資を辞さない構えを見せており、今後の数週間はミランとの粘り強い交渉が続くと見られている。
シティが要求額に達するオファーを提示できるか、そしてミランがそれをどう受け止めるのか——その答えが出るのは、もうすぐかもしれない。