ヨーロッパのフットボールシーンにまた一つ、大きな波紋が広がろうとしている。アーセナルで今季ブレイクを果たしたばかりの18歳、マイルズ・ルイス=スケリーの去就を巡って、スペインの名門レアル・マドリードがその動向を注視しているという。
この夏の移籍市場を前に、トレント・アレクサンダー=アーノルドをリバプールからフリーで引き抜いた“白い巨人”が、再びプレミアリーグのヤングスターに目をつけた形だ。
ヘイル・エンド出身のルイス=スケリーは、今季アーセナルのトップチームで見事なステップアップを遂げた。持ち味は本職のミッドフィルダーながら、ミケル・アルテタ監督は彼をレフトバックとして重用。インバートして中盤に関与する柔軟なプレースタイルが評価され、プレミアリーグで23試合、全公式戦では42試合に出場し、ファーストチョイスの地位を確立した。
その成長速度にはチームメイトたちも驚きを隠さず、ウィリアム・サリバやユリエン・ティンバーも若き才能を称賛。サポーターにとっても、アカデミー育ちの選手がピッチで躍動する姿はこれ以上ない誇りだ。
だが、その明るい将来には、影が差し始めている。ルイス=スケリーは2022年に初のプロ契約を結び、現在の契約は2026年夏で満了を迎える。そのため、アーセナルはすでに契約延長交渉を進めているが、ここに来て事態がスムーズに進んでいないとの声が上がっている。
ジャーナリストのジョナサン・ウィルソン氏は、英『The Guardian』のポッドキャストで「交渉は順調に進んでいない」との見解を示し、レアル・マドリードが“嗅ぎ回っている”と警鐘を鳴らした。
ウィルソン氏が言及したのは、トレント・アレクサンダー=アーノルドのケース。彼もまた契約満了でリバプールを離れ、レアルに加入する見通しとなっており、クラブはこの成功を再現しようとしているのではないかとの見方だ。
チャンピオンズリーグでレアルと対戦した際のスケリーのプレーも、スカウト陣の評価を一気に引き上げた可能性がある。ベルナベウでも堂々たるプレーを披露した彼の姿が、マドリードの関心をさらに高めたことは想像に難くない。
アーセナルは自信を崩さず、5年契約提示へ…それでも油断は禁物
一方で、アーセナル側には別の見解もある。英『Football Transfers』によれば、クラブはルイス=スケリーに対して5年間の新契約を準備しており、イーサン・ヌワネリと共にその発表を計画していたという。現時点で両選手との合意には至っていないが、クラブ関係者は契約延長に自信を持っていると報じられている。
移籍情報に精通するファブリツィオ・ロマーノ氏も、先月「契約延長は時間の問題」と語っており、ガナーズとしては前向きな姿勢を崩していない。実際、クラブはスケリーやヌワネリに対するオファーを検討するつもりがないとも伝えられており、あくまで内部での引き留めを最優先にしている。
ルイス=スケリー自身からも移籍の意向が示されたことはなく、むしろアーセナル愛を体現するようなプレーぶりを続けている。クラブに忠誠を誓う姿勢は、サポーターの間でも広く認識されており、突然の退団が起こるような兆しは今のところ見られない。
とはいえ、レアル・マドリードのような存在が相手となれば話は別だ。契約延長が未決定の今、わずかな隙を突かれてしまうリスクは常にある。特に、昨今の移籍市場では選手の引き抜きが一瞬で進行することも多く、アーセナルはその脅威を軽視すべきではない。
レアル・マドリードの動きが現実のものとなるか、それともアーセナルが先手を打って安心の契約延長を果たすのか。この夏、そして来夏へと続く移籍市場の主役は、18歳の若武者ルイス=スケリーなのかもしれない。