プレミアリーグ2連覇に向けて、リバプールが夏の移籍市場で活発な動きを見せている。ジェレミー・フリンポンやフロリアン・ヴィルツといった攻撃陣への関心が報じられる一方で、守備ラインにも大きな補強の動きが始まりつつある。
その最たる例が、RBライプツィヒに所属する22歳のセンターバック、カステロ・ルケバへの接触だ。英『TEAMtalk』によれば、リバプールはすでに同クラブに対して情報提供を求めており、獲得の可能性を本格的に探り始めたようだ。
ルケバはフランス代表にも選ばれる注目株で、2023年にリヨンからライプツィヒへと移籍。グヴァルディオルの後釜として加入したが、期待を上回るパフォーマンスで評価を一気に高めている。ブンデスリーガ公式も「スタンドアウト」と称するその存在感は、まさにプレミアでも通用するレベルだ。
フィルジル・ファン・ダイクとの契約延長により、一時的にCB補強の動きは沈静化していたが、イブラヒマ・コナテの契約満了が近づく今、クラブは再び守備陣の整備に動き出している。ディーン・ハイセンの獲得に失敗した経緯もあり、ルケバの名前が浮上したのは自然な流れと言える。
守備の完成度とフィジカルを併せ持つ逸材、ルケバの真価
ルケバの最大の魅力は、その守備の総合力にある。リヨン時代から定評のあった1対1の対応能力に加え、相手の動きを読み切るインテリジェンスは、ナタン・アケを彷彿とさせる。183cmとサイズは平均的ながら、跳躍力と筋力に優れ、空中戦でもしっかりと存在感を発揮するタイプだ。
また、左センターバックとしての経験が豊富で、必要とあれば左サイドバックにもシームレスに対応可能。現代サッカーで求められるハイブリッド型の守備者として、戦術的柔軟性も兼ね備えている。
タックルのタイミングやスライディングの質も一級品で、軽率なプレーでファウルを招くことが少ない。相手との距離感の取り方、アングルの切り方、間合いの詰め方といった細かいディテールにも優れ、まるで熟練のベテランのようなプレーを披露する。
さらに、ビルドアップ能力の高さも見逃せない。パスの精度はもちろん、相手を引きつけたうえで前線へラインを超えるパスを供給できる冷静さと技術を持つ。ときには自らドリブルで持ち運ぶ場面も見られ、その積極性は攻撃の起点としても貴重な存在となりうる。
ライプツィヒ加入後も安定した出場を重ねており、ブンデスリーガでの出場数は70試合を突破。『WhoScored』のデータによれば、クリアランスや空中戦勝率、マッチレーティングでもチーム上位に食い込むなど、数字でも実力を証明している。
契約は2029年まで残っており、クラブ側に売却の圧力はないが、ヨーロッパカップ戦出場を逃した影響で、今夏に複数の主力が流出する可能性が高いと見られている。ルケバも例外ではなく、移籍金が高額であることを前提に、現実的な交渉ラインが模索されているようだ。
リバプールが狙うのは単なるCBの補強ではなく、スロット体制における守備の中核を担う未来への投資だ。ハイセンの代替としても遜色なく、むしろルケバの完成度の高さはそれを上回るかもしれない。
スロット新監督は若手育成にも定評があり、ルケバのようなタレントを手元で育て上げ、ファン・ダイクの後継者として据える構想を描いていても不思議ではない。現段階では正式オファーの段階には至っていないものの、水面下での動きが今後さらに活発化する可能性は高い。
リバプールの今夏の補強戦略において、カステロ・ルケバという名前がキープレイヤーとなる日も、そう遠くはないかもしれない。