今シーズンをプレミアリーグ覇者として終えたリバプール。そんなクラブにおいて、最古参プレーヤーが別れを告げるかもしれない。ユルゲン・クロップ時代の名残をとどめる数少ない生え抜き、ジョー・ゴメスが今夏、アンフィールドを離れる可能性が浮上している。
2015年、チャールトンから加入した当時18歳のジョー・ゴメスは、リバプールでのキャリアを通じて着実にステップアップを遂げてきた。プレミアリーグやチャンピオンズリーグ制覇など、数々の栄光を経験してきた彼は、現時点でクラブ最多在籍年数を誇る選手だ。クロップが監督に就任した際のチームメンバーで、唯一残っている選手でもある。
これまでに公式戦241試合に出場し、2019-20シーズンにはファン・ダイクと並んで鉄壁のセンターバックデュオを築き上げた。だが、近年は度重なる怪我に悩まされ、今季も公式戦で17試合・874分の出場にとどまり、フィットネス面に不安が残る。
そんな中、リバプールは28歳となったゴメスの去就に柔軟な姿勢を示している。フェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)は、彼の市場価値を3000万ユーロに設定。移籍金としては手頃な水準とも言える中、8つのプレミアリーグクラブがその動向を注視している状況だ。
ニューカッスル、アストン・ヴィラ、昇格組も関心…争奪戦の様相
関心を寄せるクラブは実に8つ。その中には欧州カップ戦への出場権を持つニューカッスルやアストン・ヴィラも含まれており、彼らにとって経験豊富なディフェンダーの補強は理にかなった動きだ。また、来季のプレミアリーグ昇格組であるリーズ、バーンリー、サンダーランドも名前が挙がっており、即戦力としての期待も見込まれている。
一方で、ゴメスに対してはアルネ・スロット新監督も評価を与えており、2024年11月のブライトン戦後にはそのプレーぶりを「傑出していた」と称賛している。ポジションを問わずにプレーできる汎用性も、現代サッカーにおいては大きな武器だ。
ただし、ゴメスの移籍金に関しては一部のクラブが値切りを狙っているとの報道もあり、獲得競争は今後の交渉次第で大きく動き出す可能性がある。本人もマージーサイドを離れる覚悟ができつつあるようで、キャリアの新章に向けた決断が迫っている。
また、リバプールとしても彼を手放すことでセンターバックの陣容が一層薄くなるリスクを抱えており、ジャーレル・クアンサーがフロリアン・ヴィルツとのトレード要員として名前が浮上している点も、守備陣の将来に影響を及ぼしかねない。
ゴメスはリバプールで10年間戦い抜いたものの、いまだクラブ初ゴールは決められていない。もし今後も「赤いユニフォーム」を着続けることになれば、待望の一発を記録する日が来ることを、ファンは静かに願っているに違いない。
この夏の移籍市場で、ジョー・ゴメスの動向が与える影響は計り知れない。リバプールにとっての別れの夏となるのか、それともスロット新体制の中で新たな役割を担うのか。