突如として浮上したチェルシーによるACミランGKマイク・メニャン獲得の報道が、サッカー界に大きな波紋を広げている。フランス代表の守護神は現在、個人条件ではすでに合意済みとされており、スタンフォード・ブリッジ移籍の現実味が一気に増してきた。ただし、クラブ間の交渉は難航中。締め切りが迫るクラブワールドカップの登録ウィンドウを前に、チェルシーは時間との戦いに突入している。
ここ数年、若手選手に特化した獲得方針を貫いてきたチェルシーにとって、マイク・メニャンのような即戦力かつ高額年俸の選手をターゲットにするのは異例と言える。しかしエンツォ・マレスカ監督はGKというポジションに経験と実力を兼ね備えた選手を求める動きは理にかなっている。
英『TEAMtalk』によれば、チェルシーはメニャンを「主要なターゲット」として位置づけており、そのシュートストップ能力に加えてビルドアップへの貢献度を高く評価しているとのこと。
特にマレスカが求める後方からの正確なパス回しにおいて、メニャンは理想的な人材だ。チェルシーはすでに選手本人と個人条件で合意に達したとされ、移籍に向けた大きな一歩を踏み出している。
一方で、ACミランはこの夏にチームの大幅な再構築を迫られており、監督もマックス・アレグリに交代。メニャン自身は新たな挑戦を望んでいると伝えられており、クラブ側との契約更新の見込みも薄い。契約は2026年夏まで残っているものの、残り1年強という状況を考えれば、売却を決断しても不思議ではないタイミングだ。
焦点は移籍金、そして迫り来るタイムリミット
メニャンとチェルシー間では個人条件の合意が報じられているが、クラブ間の交渉は依然として平行線をたどっている。チェルシー側は、移籍金として2000万ユーロ前後をボーナス込みのパッケージで検討しているとされるが、ミランは3000万ユーロ以上を要求している。
この差額は「埋まらないものではない」とされており、今後の交渉次第ではボーナス構成の見直しによって歩み寄りが期待されている。
ただし、この交渉にはリミットが存在する。FIFAクラブワールドカップの登録期限が6月10日に迫っており、チェルシーにとってメニャンを大会メンバーに加えるには、あと数日以内に交渉をまとめなければならない。
懸念材料もある。メニャンは最近のネーションズリーグでスペイン相手に5失点を喫し、パフォーマンスに不安を残した。また、今季のセリエAでは過去8年で最も苦しいシーズンを過ごしており、xGデータではセーブ数が期待値を下回る傾向が続いている。こうした数値を重視するクラブにとっては、リスクのある投資と見なされる可能性もある。
加えて、チェルシーにはすでに複数のGKが在籍しており、ロベルト・サンチェスやジョルジェ・ペトロヴィッチといった選手が控えている。特にペトロヴィッチはローン先のストラスブールで素晴らしいシーズンを送り、復帰後の出番を期待されている存在。
クラブワールドカップという大舞台を見据えた補強の必要性と、過去の移籍市場での失敗から学ぶ慎重姿勢。その間で揺れるチェルシーが、最終的にどのような決断を下すのか。