2025年夏の移籍市場が本格化する中、ゴールキーパーの動向が一部クラブの命運を左右しかねない展開を迎えている。特に注目を集めているのは、プレミアリーグ復帰を果たしたリーズ・ユナイテッドと、さらなる高みを目指すニューカッスル・ユナイテッドの間で交錯する、ニック・ポープを巡る攻防だ。
セント・ジェームズ・パークでは、次なる守護神の確保に向けた動きが加速している。ターゲットとなっているのは、バーンリーに所属する22歳の若手GK、ジェームズ・トラッフォード。推定移籍金は3000万ポンドにも達するとされ、昨夏にもニューカッスル移籍が目前まで迫っていた逸材だ。
トラッフォードは、バーンリーがプレミア昇格を果たした際の原動力として名を上げ、45試合で29クリーンシートという驚異的な記録を残した。長期的な視点で見れば、これは単なる補強ではなく、GKポジションの世代交代を意味する動きとも受け取れる。
その一方で、現守護神ニック・ポープの立場は微妙なものとなりつつある。2022年夏にバーンリーから加入後、信頼できるパフォーマンスを続けてきたポープは、エディ・ハウ体制において数々の大舞台で貢献してきた。リバプールを下してのカラバオ杯制覇も、その功績のひとつに数えられるだろう。
それでも、クラブが若手への切り替えを図っているのは明白だ。トラッフォードの獲得が実現すれば、ポープは出場機会の減少、あるいは完全なポジション喪失のリスクに直面する。本人はクラブ残留を希望しているとされるが、キャリア終盤に差し掛かった今、正守護神としてプレーすることへのこだわりも捨てきれない。
リーズが新守護神にポープを指名、経験重視の補強方針が鮮明に
来季のプレミア残留を目標に掲げるリーズ・ユナイテッドは、今夏の最優先補強ポイントにゴールキーパーを挙げている。現守護神のイラン・メリエは度重なる判断ミスで信頼を失い、クラブはポジション強化の必要性を強く感じている。
そんな中、経験豊富なポープがリストアップされている。ニューカッスルに問い合わせを行ったクラブのひとつがリーズであり、獲得への関心は本物だ。ポープはこれまでにプレミアリーグ220試合超の出場歴を持ち、イングランド代表としても10キャップを刻む実績ある守護神。年齢は33歳ながら、GKとしてはまだ即戦力として十分に戦えると見られている。
週給6万ポンドという報酬はリーズにとっても許容範囲内であり、条件面でも大きな障壁とはならない。加えて、以前ターゲットとされていたクィービーン・ケレハーはブレントフォード移籍が確定済み。
その他にもジョンストン(ウルブズ)やペトロヴィッチ(チェルシー)といった選択肢はあるものの、信頼性と即戦力のバランスを考慮すれば、やはりポープが最有力候補となる。
もちろん、獲得にあたってはリスクも存在する。ポープは過去3シーズンで複数の怪我に悩まされており、特に直近2年間では肩と膝の故障により40試合以上を欠場している。セーブ率やロングパス成功率といったデータ面でもやや下降傾向にあり、長期的な投資としては不安が残る。
ポープのエージェントも現在、複数クラブと接触を持ち始めていると報じられており、状況は日を追うごとに動き始めている。ニューカッスルの補強成否次第で、ポープの選択肢は大きく変わることになるだろう。
リーズとしては、プレミア残留を果たすためにも、経験豊富な守護神の確保は急務だ。もしメリエの放出が正式に決定すれば、その後任としてポープを迎え入れるシナリオが現実味を帯びてくる。