2025年夏の移籍市場を前に、ヨーロッパのクラブが虎視眈々と次なる戦力補強に動く中、スペインで育った逸材に注目が集まっている。その名は、レアル・ベティスに所属する19歳のウィンガー、ヘスス・ロドリゲス。
卓越したドリブルとスピードを武器に、昨季のラ・リーガで頭角を現した若きスペイン人は、アストン・ヴィラ、リバプール、マンチェスター・ユナイテッドらプレミアリーグの複数クラブから熱視線を浴びていると、西『Estadio Deportivo』が伝えた。
いずれも来季を見据えたチーム再編の中で、ロドリゲス獲得を本格検討していると伝えられる。特にレアル・ベティスのクラブ事情とアントニーの去就が交差し、単なる有望株の争奪戦にとどまらない複雑な構図が浮かび上がっている。
セビージャ出身のロドリゲスは、レアル・ベティスの下部組織で育ち、2024-25シーズンにトップチームで台頭。リーグ戦21試合を含む公式戦35試合に出場し、合計3ゴール2アシストを記録したとされる。若干19歳ながら、マヌエル・ペジェグリーニ監督の信頼を勝ち取っており、U-21スペイン代表にも選出された将来有望なタレントだ。
ではなぜ、ベティスはこの逸材を手放すのか。その背景には、ブラジル代表FWアントニーの去就がある。マンチェスター・ユナイテッドからローンで加入したアントニーは、スペインの地で完全に復活。カンファレンスリーグ準決勝での得点を含む9ゴールを記録し、チームの決勝進出に貢献した。
ベティスはアントニーの完全移籍を強く望んでいるが、ユナイテッドが約4000万ポンドを要求していることで資金調達が急務となっている。そこで、クラブはロドリゲス売却によって必要資金を確保する動きを見せているとみられる。
リバプールの補強リスト入りか?各クラブの立場と移籍金動向
ヘスス・ロドリゲスを巡っては、複数のプレミア勢が既に水面下で動き始めている。なかでもアストン・ヴィラは、ウナイ・エメリ体制の下で積極的な補強に取り組んでおり、ラッシュフォードのローン終了とレオン・ベイリーの去就不透明を背景に、新たなウィンガー獲得を急いでいる。
ただし、ヴィラ内部では「ロドリゲス獲得がユナイテッドのアントニー放出を助けることになる」と懸念の声も。実際、過去にラッシュフォードのローン移籍でユナイテッドに“恩を売った”ばかりであり、今夏はその反動も見据えた慎重な判断が求められている。
リバプールもまた、ロドリゲスに関心を寄せていると報じられている。ルイス・ディアスが退団する可能性がある中、左ウイングの後継者探しは今夏の重要テーマ。契約解除条項の金額が魅力的な範囲で収まるなら、将来性を買って獲得に踏み切る可能性は十分ある。
一方、マンチェスター・ユナイテッドも引き続き注視している。サンチョやラッシュフォードの処遇が定まらない中で、ウィングの新戦力は必要不可欠なピース。ロドリゲス獲得が実現すれば、アントニー売却の後押しにもなり、クラブの構造改革に貢献する形となる。
移籍金については、契約解除条項が2900万ポンドとも、5000万ユーロとも報じられており、出所によってバラつきがある。ベティス側が求める額はおおよそ3500万ユーロ前後と見られ、金額面での調整が今後の交渉を左右する。
RBライプツィヒが2000万ポンドのオファーを提示したものの拒否されたとされており、争奪戦は既にプレミアリーグ勢を中心に次の段階へと進んでいる。チェルシーやアーセナルも過去にスカウトを派遣しており、今後の展開次第では伏兵の登場もあり得る。