アーセナルが予想外のゴールキーパーに接触しているとの噂がロンドン中を駆け巡っている。ターゲットとなっているのは、かつてチェルシー史上最高額のGKとして加入したスペイン代表ケパ・アリサバラガ。今季終了時点で現行契約が最終年を迎えることから、破格の500万ポンドでの移籍が可能な状況にあり、ロンドンのライバル間で思わぬ争奪戦が勃発するかもしれない。
ミケル・アルテタ監督は、正守護神ダビド・ラヤの後方支援を担える存在を求めており、ケパはその役割を果たし得る人物としてリストアップされている模様だ。昨季はボーンマスにローンで加入し、公式戦35試合に出場したケパ。プレミアリーグ9位というクラブ史上に残る好成績の立役者の一人であり、アンドニ・イラオラ監督もその残留を希望していた。
とはいえ、ボーンマスにとっての最大の障壁はヨーロッパの舞台。アーセナルが提示できる欧州カップ戦出場権は、選手にとって大きな魅力であり、比較的小規模なクラブにとっては埋めがたいギャップとなっている。
アーセナルは昨夏、アーロン・ラムズデールを放出後、ボーンマスのネトをレンタルで獲得し、短期的なGK問題をしのいだが、今夏は長期的な解決策を見出す構え。エスパニョールのジョアン・ガルシアにも2500万ポンドを用意していたが、バルセロナの介入により交渉は暗礁に乗り上げ、ケパの存在が急浮上してきた。
アルテタ監督は、ケパの足元の技術とビルドアップ能力に以前から注目しており、ラヤとの共存あるいは競争を念頭に置いているとされる。ただし、元スペイン代表GKが“控え”という役割に甘んじるかどうかは不透明。プレミアでの実績を積み上げ、再起を期すケパにとって、次の移籍先選びはキャリアの分水嶺とも言える。
一方で、アーセナルには将来を嘱望される若手GKも複数在籍している。18歳のトミー・セットフォードは昨季カラバオカップでトップチームデビューを果たし、高く評価されている逸材だが、今すぐにラヤの控えを務めるには時期尚早と見なされている。また、レアル・バジャドリードにローンで出場経験を積んだカール・ハインも復帰する予定だが、その扱いも定まっていない。
アーセナルにとっては、経験と実力を兼ね備えたケパの加入が控え問題の即効薬になることは間違いなく、しかもそのコストはたったの500万ポンド。これは2018年にチェルシーが支払った移籍金7200万ポンドと比較しても、まさに“バーゲン中のバーゲン”だ。
一方で、チェルシー側もケパ放出には前向きであり、年俸削減とスカッドの刷新を進める一環として、すでにミランのマイク・メニャン獲得に向けた交渉をスタートしているという。アーセナルが獲得レースを制し、ロンドンの宿敵から守護神経験者を手に入れるのか。