プレミアリーグとセリエAを代表する名門クラブが、ロンドンで極秘会談を予定している。欧州サッカー界が夏の移籍市場を目前に騒がしくなる中、トッテナム・ホットスパーとインテル・ミラノの間で、一人のディフェンダーを巡る駆け引きが注目を集めている。
関係筋によれば、交渉の中心人物として浮上しているのが、スパーズに所属するルーマニア代表DFラドゥ・ドラグシンと、インテルの若きセンターバック、ヤン・アウレル・ビセック。両者を含むトレード案がテーブルに乗せられる可能性があると報じられており、交渉は早ければ今週中にも動き出す見通しであると、伊『CalcioMercato』が報じた。
インテルは現在、クラブ内部での変革の真っ只中にある。シモーネ・インザーギ監督の退任が決まり、後任にはセスク・ファブレガスの名前が浮上。来季以降を見据えたプロジェクトを進める中で、即戦力の確保は喫緊の課題だ。
そんな中で注目を集めるのが、トッテナム・ホットスパーで実力を示せていないラドゥ・ドラグシンだ。セリエAでのジェノア時代に印象的なプレーを披露し、イタリアでも実力が認知されている存在。
一方、放出候補として名前が挙がっているのが23歳のドイツ人DF、ヤン・ビセック。複数のプレミアリーグクラブから関心が寄せられているが、中でも最も前向きな動きを見せているのがトッテナムだ。
今季限りでの退団が見込まれているベン・デイヴィスの後任探しはクラブにとって急務であり、ビセックのフィジカルとボール扱いのスキル、さらに将来的な伸びしろは再起を狙うトッテナムに合致すると見られている。
鍵を握るのはインテルの補強戦略とリバプールの動向
ただし、交渉の成否にはいくつかの不確定要素が絡んでいる。インテル側は現在、クリスタル・パレス所属のマルク・グエイを優先ターゲットに据えており、仮に獲得に成功した場合、ラドゥ・ドラグシンへのアプローチは後退する可能性がある。
しかし、この争奪戦にはリバプールも関与しており、グエイの去就は依然として不透明。英『TEAMtalk』ルディ・ガレッティ記者は6月4日、インテルがグエヒのリストアップを進める一方で、ドラグシンを「現実的な代替候補」と見なしていると伝えている。
トッテナム・ファンにとっても、この交渉は単なる入れ替えでは済まされない。ドラグシンがプレミアリーグの環境に馴染み切れておらず一方で、ビセックもセリエAで一貫性に欠けるプレーも見せていたため、両選手とっては環境を変える意味合いで価値のあるものになるかもしれない。
両クラブにとって守備陣の再編は不可避であり、早期に動き出すことで今後の補強戦略にも弾みをつけたいところだ。会談の舞台となるロンドンでは、両クラブの将来を左右する一手が打たれる可能性もある。