ヨーロッパを席巻するヴィクター・オシムヘンが、この夏の移籍市場で再び大きな話題を呼んでいる。イタリア・ナポリに所属するナイジェリア代表ストライカーには、イングランドの強豪クラブがこぞって関心を示しており、その中でもリバプールが獲得に向けた本格的な動きを見せている。
昨季はガラタサライへのレンタル移籍で41試合37ゴールという驚異的な記録を残し、トルコリーグとカップの2冠に貢献。その決定力と存在感は群を抜いており、欧州中のビッグクラブが注目するのも無理はない。
オランダ人指揮官アルネ・スロットの下で、プレミアリーグ制覇という偉業を成し遂げたリバプール。より自分好みのチームに移行するため、最優先課題として掲げるのが、攻撃陣の再構築。特に決定力不足に悩まされた昨季の反省を踏まえ、ストライカーの補強は避けて通れない道となっている。
その中で名前が挙がっているのが、オシムヘンだ。英『TBR Football』の報道によると、クラブ内部では「真剣なターゲット」として位置付けられており、すでに代理人との接触も報じられている。
現在、リバプールはバイエル・レバークーゼンのフロリアン・ヴィルツやボーンマスのミロシュ・ケルケズとも交渉中だが、前線の柱となるストライカーを欠いては、スロット構想の完成は望めない。
プレミアリーグではすでに複数のクラブがストライカー補強に動き、マンチェスター・ユナイテッドやアーセナルはレッドブル・ザルツブルクの新鋭を狙い、チェルシーはリアム・デラップを確保。市場が徐々に収束へ向かう中、オシムヘンはリバプールにとって「残された実現可能なトップターゲット」と言えるだろう。
そのプレースタイルは、スピードとフィジカル、そしてゴール前での冷静さを兼ね備えた“完全な9番”。ナポリでは133試合で76ゴール、ナイジェリア代表でも26ゴールを記録するなど、名実ともに欧州屈指のストライカーとして名を馳せている。
オシムヘン自身が望むプレミアリーグ挑戦と熾烈な争奪戦
選手本人も今夏の移籍には前向きとされており、特にプレミアリーグでのプレーを熱望している点は、リバプールにとって有利な材料となっている。サウジアラビアのアル・ヒラルから届いた巨額オファーを固辞し、欧州のトップレベルで戦い続ける姿勢を明確にしたオシムヘン。その意欲は疑う余地がない。
イングランドでは、リバプールとマンチェスター・ユナイテッドが代理人とすでに前向きな協議を行ったと報じられており、チェルシーはターゲット変更により撤退。この状況下、アンフィールド行きの可能性が急浮上している。
一方で、古巣ガラタサライも完全移籍での復帰を狙っているが、ナポリが設定した6300万ポンドの契約解除金は、トルコ王者にとって簡単に捻出できる額ではない。クラブ副会長は「日に日に残留の可能性が高まっている」と語るが、ナポリ側は現金化を優先しており、再レンタルなど妥協案も模索中だ。
リバプールにとって障害となるのは移籍金と給与面。だが、すでにクラブは財政的な準備を整えつつあり、今後数週間で正式なオファーを提示する可能性は十分にある。スロット監督が重視する「ファシリテーター」としての役割を果たせるかどうかは未知数だが、決定力という一点においては、他の追随を許さない存在だ。
ヴィルツ、フリンポンに続く大型補強となれば、リバプールにとっては“最高の夏”となることは間違いない。アンフィールドの歓声がオシムヘンを迎える日は訪れるのか。