「空中戦の怪物」ナット・フィリップスに迫る転機…チャンピオンシップ複数クラブが争奪戦か?

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「空中戦の怪物」ナット・フィリップスに迫る転機…チャンピオンシップ複数クラブが争奪戦か? Liverpool

リバプールの最終ラインにおける主役は、いまやフィルジル・ファン・ダイクとイブラヒマ・コナテのコンビが不動となり、アルネ・スロット監督の下でさらに進化中。しかし、ほんの数シーズン前、センターバック陣が壊滅的な危機に直面していたことを思い出せるサポーターはどれほどいるだろうか。

その苦境のなかで、一人の若きディフェンダーがチームの屋台骨を支え、奇跡のトップ4フィニッシュに貢献した。その選手の名前はナサニエル・フィリップス。2020-21シーズン、幾多の負傷者により構成された綱渡りの守備陣で、彼は一際輝きを放った存在だった。

2020年10月、ファン・ダイクの長期離脱に端を発した守備陣の崩壊に直面したクロップ監督は、当時ほとんど経験のなかったフィリップスとアカデミー出身のリース・ウィリアムズに白羽の矢を立てた。多くの評論家がシーズン崩壊を予想するなか、このコンビは堅実な守備と献身性で状況を好転させる。

フィリップスはその空中戦の強さから、クロップ監督に「空中戦の怪物」と評され、サポーターからは「ボルトンのバレージ(Bolton Baresi)」という愛称で親しまれるなど、そのプレースタイルは一気に支持を集めた。

特に記憶に残るのは、2021年12月のチャンピオンズリーグ・グループステージ、ACミラン戦で見せた“クライフターン”だろう。サン・シーロの舞台で披露したそのプレーは、彼の冷静な判断力とテクニックを証明する象徴的な瞬間となった。

だが、時は流れ、リバプールの陣容は刷新されつつある。28歳を迎えたナット・フィリップスには、新天地を求める夏が迫っている。

チャンピオンシップ複数クラブが獲得に動く構え

アルネ・スロット監督の構想から外れていると報じられているフィリップスは、この夏に完全移籍する可能性が極めて高い。2026年まで契約を残しているが、リバプールでの居場所はすでになく、クラブも現実的な選択肢として売却を模索している。

英『The Athletic』のグレッグ・エヴァンス記者によれば、複数のチャンピオンシップクラブがフィリップス獲得に本腰を入れているという。その筆頭が、ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンだ。昨季9位でフィニッシュした同クラブは、ライアン・メイソン新監督の下、プレミアリーグ昇格を目指しており、退団が決定したセミ・アジャイの穴を埋める即戦力としてフィリップスに注目している。

また、昨シーズンに期限付き移籍でプレーしたダービー・カウンティも関心を寄せており、ジョン・ユースタス監督は彼を「傑出していた」と称え、「ぜひ彼に戻ってきてほしい」と語るなど、そのパフォーマンスに高い評価を与えている。

過去にはボーンマスへのレンタルでチームの昇格に貢献した実績もあるフィリップス。空中戦に強く、守備ラインを統率できる彼のようなタイプは、チャンピオンシップの厳しい戦いでこそ真価を発揮する。

リバプールは過去にトラブゾンスポルからの400万ポンドのオファーを拒否し、800万ポンドを要求したこともあるが、現実的な売却価格の設定が今夏の鍵を握ることになるだろう。

クラブはすでにアカデミー選手7名の放出準備を進めており、カルヴィン・ラムゼイやカイデ・ゴードンといった若手もリストに含まれている。そうしたなかで、忠実にクラブに尽くしてきたベテランに対して、誠意ある決断が求められている。