ボーンマスに所属するハメド・ジュニオール・トラオレの去就が大きな注目を集めている。フランスのAJオセールでのレンタル期間中に見せた輝きが評価され、ヨーロッパの複数クラブが獲得レースに名乗りを上げる中、セリエAへの復帰が現実味を帯びてきた。
イタリアで育ち、サッスオーロで名を上げたコートジボワール代表MFにとって、古巣の地に戻るという選択は決して不思議なものではない。プレミアリーグでの厳しい時間を経て、再び自らの才能を証明する舞台を求める彼にとって、今夏の移籍はキャリアの分岐点となる可能性が高い。
2000年生まれ、現在25歳のトラオレは、イタリア・エンポリの下部組織で育ち、早くからそのテクニックと創造性で注目を浴びてきた。サッスオーロでは100試合超の出場経験を持ち、攻撃的MFとしてセリエA屈指の若手有望株と評価されていた。
2023年夏、約2560万ユーロの移籍金でボーンマスへ完全移籍したが、負傷と病気によって思うような結果を残せず。そんな中、今季フランス・リーグアンのAJオセールへと期限付き移籍を果たし、26試合で10ゴール2アシストと輝きを放った。
攻守にわたる運動量と柔軟なポジショニング、ボールを持った際の落ち着きはヨーロッパ各地のスカウト陣を再び惹きつけ、移籍市場での評価を急速に高める結果となった。
トラオレに対する関心を最も強く示しているのは、やはりイタリアのクラブたちだ。なかでも古巣サッスオーロは、来季のセリエA復帰を前に中盤の強化を図っており、彼の獲得を強く望んでいると報じられている。
一方、来季のUEFAヨーロッパリーグ出場を控えるボローニャは、獲得レースの本命とも目される存在だ。欧州の舞台に立つチャンスは、トラオレのキャリアにとって間違いなく大きなプラスであり、さらなる飛躍を遂げる絶好のタイミングとも言える。
さらに、近年の若手育成で定評あるアタランタや、戦力補強に積極的なフィオレンティーナも水面下で動きを見せており、セリエA復帰の可能性は日に日に高まっている。
また、イタリア国外でもフランスのニース、リヨン、モナコ、さらにはイングランドのウェストハム・ユナイテッドといったクラブが争奪戦に加わっており、今後の展開は予断を許さない。
移籍金は約2000万ユーロか、完全移籍か再レンタルかで交渉継続中
トラオレは2028年までボーンマスとの契約を残しているが、出場機会に恵まれない現状にクラブ側も変化を求めているようだ。報道によれば、完全移籍に際してボーンマスは2000万ユーロ前後の移籍金を要求しており、交渉は激しさを増している。
一方で、イタリアのクラブはレンタルでの再獲得という柔軟な形も視野に入れており、今後の条件次第では再び期限付き移籍が成立する可能性も否定できない。
トラオレ自身は慣れ親しんだセリエAへの復帰を前向きに捉えており、プレミアリーグでの将来よりもイタリアでの再スタートに強い意欲を見せているとされる。
この夏、彼がどのクラブを次なる舞台に選ぶのか。その決断がヨーロッパ中の移籍市場に与える影響は小さくない。再び自らの才能を証明する場所を見つけられるかどうか、注目が集まる。