今夏の移籍市場が開幕を迎えるにあたり、ウクライナ代表DFイリア・ザバルニーの去就に注目が集まっている。ボーンマスで安定したパフォーマンスを披露する若きセンターバックには、フランス王者パリ・サンジェルマン(PSG)が熱視線を送っており、すでに巨額オファーを提示したとも報じられている。
しかし、両クラブ間での評価額には依然として大きな開きがあり、交渉は難航。さらにFIFAクラブワールドカップの選手登録期限が目前に迫る中、現時点での移籍成立は厳しい情勢となっている。
仏『L’Équipe』によれば、PSGはすでに5000万ユーロを超える金額を用意しているというが、ボーンマスはザバルニーの価値を7000万ユーロと見積もっており、差は依然として埋まっていない。PSGのチームはすでにクラブW杯出場に向けてロサンゼルス入りしているものの、今のところ新戦力の合流はない。
火曜日の登録期限を目前に控え、ザバルニーの即時加入は「極めて可能性が低い」と現地メディアは報じている。一方で、フットボール・アドバイザーのルイス・カンポスと、ボーンマスのフットボール部門責任者ティアゴ・ピントの関係性を踏まえれば、公式ルートとは異なる非公式のルートで交渉が進んでいる可能性も否定できない。
ボーンマスとしても、今夏にディーン・ハイセンをレアル・マドリードに送り出したばかりで、守備の要をこれ以上手放すことは大きなリスクを伴う。昨季はリーグ戦で46失点とクラブ史上最高水準の守備を築き、その中心にいたのがザバルニーだった。加えて、左サイドバックのミロシュ・ケルケズにもリバプール移籍の噂が広がっており、守備陣の再構築が現実味を帯びる状況だ。
英『TBR Football』グレアム・ベイリー氏は、ボーンマスがザバルニーの評価額を6000万ポンドに設定していると報じており、契約期間も2029年まで残っていることから、ボーンマスは完全に有利な立場に立っている。
移籍を望む本人、注目集めるリバプール含むプレミア勢の動き
こうした中で、ザバルニー本人は移籍に前向きな姿勢を見せているとされる。PSGの関心に「心が動かされた」との報道が流れており、複数のプレミアリーグ上位クラブからのオファーを断り、パリ行きを希望しているとも伝えられている。
中でもリバプールは、今夏の補強ポイントとしてセンターバックを重要視しており、ザバルニーに接触していたと報道されている。ジョー・ゴメスの怪我がちの状況や、ジャレル・クアンサーの経験不足、イブラヒマ・コナテの将来に不透明さがある中で、即戦力となるCBの補強は理にかなっている。
ただし、現時点でザバルニーがリバプールの最優先ターゲットではないとの見方もあり、ザバルニー自身の希望も相まって、現実的にはPSGへの移籍が本命と見られている。
ボーンマスからはすでにディーン・ハイセンに続き、ケルケズへの関心も寄せられており、もしザバルニーの移籍が決まれば、主力守備陣が一気に3人抜けることになる。クラブの戦力構想に与える影響は計り知れず、そのぶん移籍金の上積みは避けられないだろう。
ザバルニーのPSG移籍は、クラブW杯には間に合わない見通しではあるが、夏の移籍市場再開後には一気に進展する可能性がある。ザバルニーは来季、リーグ・アンの舞台に立っているのだろうか。今後の一挙手一投足から目が離せない。