リバプールとのクラブ間合意に至り、バイエル・レバークーゼンからフロリアン・ヴィルツがステップアップする。その余波が早くも移籍市場に波紋を広げている。
シャビ・アロンソ監督も抜け、ジェレミー・フリンポンやヨナタン・ターら主力組も退団する2025-26シーズンを迎えるバイエル・レバークーゼンは、ヴィルツのの穴を埋めるべく、プレミアリーグからの即戦力確保に向けて動き始めたようだ。
その標的となっているのが、ボーンマスで目覚ましい活躍を見せたオランダ代表FWジャスティン・クライファートだ。
英『talkSPORT』によれば、レバークーゼンはすでに正式にボーンマスに接触し、クライファート獲得の可能性を探っているという。その背景にいるのは、今夏から指揮を執るエリック・テン・ハーグ新監督だ。
マンチェスター・ユナイテッドでの指導経験を持つオランダ人指揮官は、クライファートのスピードと柔軟性、そしてゴール前での冷静さを高く評価しており、ヴィルツの代役として最適な存在と見なしている模様。プレースタイルが自身のシステムにフィットすると確信しており、攻撃の核として起用する構想を描いている。
レバークーゼンはすでに今夏、マーク・フレッケン(ブレントフォード)、イブラヒム・マザ(ヘルタ・ベルリン)、ティム・オーマン(ボーフム)ら若手有望株を補強済み。だが、攻撃の中心となる選手の確保は、何よりも優先度が高い課題だ。
クライファートは今季、アンドニ・イラオラ体制のボーンマスでキャリアハイのパフォーマンスを披露。プレミアリーグで12ゴール6アシストを記録し、全大会通算では13ゴール・8アシストと、合計21得点に関与。チームの得点王として、クラブ史上最多となる56ポイント獲得の立役者となった。
特筆すべきは、昨年12月のウォルバーハンプトン戦で達成したPKハットトリック。さらに、ニューカッスル戦では4-1の快勝を導くハットトリックも記録するなど、勝負強さを見せつけた。オランダ代表でも2025年だけで5キャップを数えるなど、国際的な評価も着実に高まっている。
だが、クライファートを引き抜くのは容易ではない。ボーンマスは現時点で放出の意思を示しておらず、契約は2028年まで残る。また、リリース条項は存在しないとされており、交渉は困難を極めそうだ。
すでにディーン・ハイセンをレアル・マドリードに放出したボーンマスは、リバプールが関心を示すミロシュ・ケルケズ、PSGが狙うとされるイリア・ザバルニー、そして複数クラブが追うアントワーヌ・セメンヨなど、主力流出の危機に晒されている。
ヴィルツ放出で1億ポンド超を確保…資金面での不安なし
レバークーゼンは、ヴィルツをリバプールへ売却することで、移籍金として最大1億1,600万ポンドを獲得。また、同じくレッズへ旅立ったジェレミー・フリンポンの移籍金も加算すれば、今夏だけで約1億4,000万ポンドという巨額を手にしている。
さらに、クラブW杯出場に伴うボーナスもバイエルン・ミュンヘンやレアル・マドリードから支払われているとされており、資金面での余力は十分だ。
果たして、レバークーゼンがプレミアで輝きを放った快速アタッカーをブンデスリーガへ引き入れるのか。あるいはボーンマスが鉄壁の姿勢を貫き通すのか。フロリアン・ヴィルツの超大型移籍で始まったこの夏の移籍市場は、ジャスティン・クライファートを巡ってさらなるドラマを生むことになるかもしれない。