2024-25シーズンをもってプレミアリーグから降格の憂き目を見たイプスウィッチ・タウンが、来季のチャンピオンシップに向けて、さっそく大型補強に着手したようだ。
英国内の複数メディアが報じたところによれば、クラブが狙いを定めているのは、バーンリーの中盤を支え続けたキャプテン、ジョシュ・ブラウンヒル。契約満了によってフリーでの移籍が可能になる同選手に対して、複数のクラブが関心を寄せる中、イプスウィッチがその獲得レースで先手を打ったという。
攻守両面で質の高いプレーを見せる29歳のブラウンヒルは、昨季もバーンリーで主力として活躍。18ゴール6アシストという驚異的な数字を記録し、チャンピオンシップ屈指の万能型MFとして再評価されている。クラブとしては、中盤の再編が急務となる今夏、経験と即戦力を兼ね備えた選手の加入が重要課題。そんな中、プレミアでの実績も豊富なこの男の名が浮上した。
ジョシュ・ブラウンヒルが昨季残したパフォーマンスは、単なる好調の一言では片付けられない。中盤の底からゲームを組み立てながら、ゴール前でも決定的な仕事をやってのける。18ゴールのうちPKはわずか3つ。
つまり、フィールドプレーで15得点を奪った計算になる。これは、同じく昇格候補だったリーズ・ユナイテッドのヨエル・ピルーに次ぐ記録であり、攻撃的なセンスも一級品だ。
彼のキャリアはマンチェスター・ユナイテッドの下部組織からスタートし、プレストン・ノース・エンドやブリストル・シティで実戦経験を積んだ後、2020年にバーンリーへ加入。ヴィンセント・コンパニ監督の下で迎えた2022-23シーズンには、チャンピオンシップ優勝も経験しており、昇格を目指すクラブにとって、喉から手が出るほど欲しいピースとなっている。
イプスウィッチにとっても、今夏の中盤再建は急務だ。昨季まで支柱となっていたマッシモ・ルオンゴは契約満了により退団。さらにマンチェスター・シティからのレンタルだったカルヴィン・フィリップスや、ナポリから加わっていたイェンス・カユステもクラブを去る予定。
もちろん、事はそう簡単ではない。報道によれば、ブラウンヒル側は「ビッグ・ペイデイ」、すなわち大型契約を望んでいるという。フリーで獲得できるとはいえ、年俸や契約内容の面ではかなりの条件が提示される見込みだ。
ただ、イプスウィッチにも勝機はある。降格後もクラブの財政状態は健全とされ、補強資金も十分に確保していると見られている。イプスウィッチがバーンリーよりも高額な給与をオファーできる準備があると伝えられており、交渉のテーブルでは決して不利ではない。
しかし、競争相手は強力だ。ウェストハムやエバートンなど、プレミアリーグに残る複数クラブがブラウンヒルに関心を示しており、トップリーグでのプレーを望むのは自然な流れ。イプスウィッチが彼にとって「魅力的な選択肢」となり得るかどうかは、クラブのビジョンと提示条件、そして本人のキャリア観次第となる。