今夏の移籍市場が加熱する中、プレミアリーグ王者マンチェスター・シティが、ニューカッスル・ユナイテッドの若き逸材ティノ・リヴラメントに対し、4000万ポンド前後の正式オファーを準備していると報じられている。ペップ・グアルディオラ監督が最優先に掲げるのは、右サイドバックのテコ入れ。リヴラメントは、その補強リストの最上位に名前を連ねている。
今シーズンのいマンチェスター・シティはプレミアリーグの頂点の座を逃し、グアルディオラ体制における一時代の終焉を感じさせた。契約満了でチームを去るケヴィン・デ・ブライネを筆頭に、これまでの主力の衰えが目立つ。
特に顕著だったのが、右サイドバックの人材不足。主戦力のカイル・ウォーカーはシーズン途中でACミランへ一時移籍。代役を担ったのは本職ミッドフィルダーのマテウス・ヌネスや若きリコ・ルイスだった。
その状況を踏まえ、クラブはこの夏すでにタイアニ・ラインデルスやラヤン・アイト=ヌーリらの補強に動き、総額1億ポンド以上を投じている。それでも、右サイドバックは最後のピースとして未解決のままだ。
そうした中、イングランドU-21代表で活躍中のリヴラメントが急浮上。22歳ながらプレミアリーグで着実な成長を遂げた同選手は、2024/25シーズンにおいてニューカッスルでリーグ戦37試合に出場。両サイドをハイレベルにこなすユーティリティ性と安定感は、まさに現在のシティにとって理想的な存在だ。
ドイツ発の移籍情報サイト『Transfermarkt』では、リヴラメントの市場価値を4000万ユーロと評価。シティが提示を準備しているとされる4000万ポンドのオファーは、決して現実離れした数字ではない。
ただし、交渉は一筋縄ではいかない。ニューカッスルは来季に向けてチャンピオンズリーグの出場権を保持しており、主力売却の必要性が薄い。クラブ側は現時点でリヴラメントを放出する考えはないとの立場を堅持しており、彼の放出には強い抵抗を示している。
加えて、選手自身も残留に前向きだ。最近のインタビューでは「ニューカッスルは加入当初からビッグクラブだと感じていた。このクラブでタイトルを獲りたいという気持ちは変わらない」と語り、今夏の移籍を示唆する言葉は一切見られなかった。
実際、現地メディア『The Boot Room』も、今回の移籍の実現性について「極めて低い」と断言。ニューカッスルのプロジェクトが魅力的であること、そしてリヴラメントの忠誠心が障壁になると分析している。
一方、シティ側では、ACミランから復帰したウォーカーの去就も不透明。契約は残り1年で、代理人はすでにトルコやサウジアラビア方面と接触しているとされる。ただし、本人は欧州のトップレベルでのプレー継続を望んでおり、シェフィールド・ユナイテッド復帰という選択肢も、条件次第ではあり得るという。
仮にリヴラメントの獲得が不発に終わった場合、シティはフライブルクのキリアン・シルディリアや、ブラジルのフラメンゴに所属する21歳のウェズリーへとターゲットを切り替える可能性がある。特にウェズリーはスピードと戦術理解に優れ、グアルディオラが好むプロファイルに近いと言われている。
現時点では、リヴラメント獲得は夢物語に近い印象を受けるものの、グアルディオラが本腰を入れて動き出せば、何が起きても不思議ではない。移籍市場はまだ始まったばかりだ。