2025年夏の移籍市場は、例年に増して熱を帯びている。イタリア・セリエAのアタランタに所属する24歳のGK、マルコ・カルネセッキも注目を集める一人だ。イングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドが熱視線を送っていると地元紙が報じており、その動向は日に日に注目度を高めている。
今シーズンのアタランタで安定したパフォーマンスを披露し、セリエA屈指の守備陣を最後尾で支えてきたマルコ・カルネセッキ。セービング技術の高さと冷静な判断力で評価を上げ続けており、24歳という若さも手伝って欧州の複数クラブが関心を示している。
とりわけ関心を強めているのがマンチェスター・ユナイテッド。シーズン中には何度もスカウトを派遣し、カルネセッキの試合を直接視察。現在の正守護神アンドレ・オナナの去就が不透明な状況にある中で、代役としての最有力候補に浮上しているという。
ただし、アタランタとの契約は2028年まで残っており、移籍金も約4000万ユーロと決して安くはない。クラブは彼を将来のチームの核と位置づけており、簡単に放出に応じる気配はない。財政面での現実的な判断に加え、チーム力の維持を最優先する姿勢が見て取れる。
カルネセッキの去就が注目される中、アタランタはすでに未来への布石を打ち始めている。その象徴的な動きが、オディロン・コスヌの完全移籍での獲得だ。
ドイツの強豪バイエル・レバークーゼンから1年間の有償レンタルで加入していたコスヌは、2024-25シーズンにおいてリーグ戦23試合に出場。その堅実な守備対応とフィジカルの強さ、戦術理解力で評価を高め、アタランタは彼と2029年までの長期契約を締結した。
興味深いのは、この獲得劇の裏で、元アタランタ監督のジャン・ピエロ・ガスペリーニが率いるローマとの水面下の争奪戦があったとされていること。かつての恩師との駆け引きを制し、クラブの将来を担うCBを手中に収めたアタランタは、着実にチーム強化を進めている。
カルネセッキのような既存戦力を最大限引き留める一方で、将来的に中核となる若手の確保にも抜かりはない。単なる一発狙いの補強ではなく、持続可能なチーム作りが行われている点が印象的だ。
アタランタの戦略は極めて明瞭で、理念に基づいた「両輪強化型」の移籍方針が明確に見て取れる。すなわち、カルネセッキのような主力選手を守り抜きながら、コッスヌのような将来有望な選手に積極投資していくスタンスだ。
このアプローチは、セリエAでの上位定着のみならず、ヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグといった欧州大会での躍進にも通じており、クラブの志が単なる国内リーグ制覇にとどまらないことを物語っている。
仮にカルネセッキが移籍するというシナリオになっても、クラブはすでにその「次」を見据えて動いている。アタランタにとって、この夏の移籍市場は重要な分岐点であり、これまで培ってきたクラブ哲学の真価が問われる局面でもある。
果たしてマンチェスター・ユナイテッドは本気でカルネセッキ獲得に動くのか。そしてアタランタはそれにどう応じるのか。欧州中のスカウトが熱視線を送る中、ベルガモのクラブがどんな決断を下すのか、今後の展開から目が離せない。