昨季、チャンピオンシップでの戦いを経てプレミアリーグ復帰を果たしたバーンリーが、早くも本格的なチーム強化に乗り出している。今夏の移籍市場で同クラブが狙いを定めたのは、かつてクラブをプレミアの舞台へと導いた若き守備者、テイラー・ハーウッド=ベリスだ。
スコット・パーカー監督の下、再出発を図るバーンリーにとって、守備陣の再構築は最優先事項。そして、その中核を担う存在として白羽の矢が立ったのが、現在サウサンプトンに所属する23歳のセンターバックである。
テイラー・ハーウッド=ベリスの名前に、バーンリーサポーターは特別な感情を抱いているだろう。2022-23シーズン、当時ヴァンサン・コンパニ率いるチームで守備の要としてプレーし、クラブのチャンピオンシップ優勝とプレミア昇格に大きく貢献した男だ。
マンチェスター・シティからのローン加入ながら、その存在感は計り知れなかった。リーグ戦32試合に出場し、守備の統率と冷静なビルドアップでチームを牽引。結果的にその年、バーンリーは圧倒的な勝ち点で2部を制した。
その後、彼は2023年夏にサウサンプトンへとローン移籍し、昇格に伴って2000万ポンドの買い取り義務が発動。完全移籍を果たしたが、今季のサウサンプトンはプレミアリーグで戦い抜けず、再び2部に舞い戻ることとなった。
そんな中、ハーウッド=ベリス本人は、引き続きプレミアの舞台で自身を試したいと希望している模様。こうした思いが、バーンリー復帰というシナリオを現実味あるものにしている。さらには、昨年11月にはイングランド代表デビューも飾っており、アイルランド戦での得点という華々しい記録も残している。
今夏のバーンリーにとって、守備の再構築はまさに喫緊の課題だ。主力DFコンラッド・イーガン=ライリーが、クラブとの契約交渉が決裂し、マルセイユへとフリーで移籍したことで、ディフェンスラインには大きな穴が空いた。
そんな状況下で、ハーウッド=ベリスのような経験豊富でクラブ哲学を理解する選手の復帰は、理想的な補強となる。実際、彼のデータはプレミアでも通用する水準にある。90分あたりの平均クリア数4.49回、ブロック数2.07回、空中戦勝率も高く、確かな実力を数字でも証明している。
バーンリーは完全移籍か買い取りオプション付きローンという形態での獲得を視野に入れているが、サウサンプトンが支払った移籍金をどの程度回収したいのかが交渉の鍵となる。降格クラブゆえに立場は弱く、バーンリー側が主導権を握れる可能性は高い。
一方で、ウェストハムやリーズ・ユナイテッドといったクラブも同選手に興味を示しているが、資金面や選手放出の条件が揃っておらず、本格的なオファーには至っていないとされる。現時点でバーンリーが獲得レースをリードしているのは明らか。
指揮官パーカーもこの補強に積極的だ。彼の掲げるコンパクトかつアグレッシブなスタイルにおいて、守備陣の安定は不可欠。ハーウッド=ベリスの加入は、その根幹を支える極めて重要なピースとなるだろう。
プレミアリーグでの再挑戦を目指す若きCBと、残留を至上命題とするバーンリー。両者の思惑が一致する今、ふたたびタッグを組む未来は決して夢物語ではない。