今夏の移籍市場が本格化するなか、スコットランドの名門セルティックは静かに、しかし着実に陣容の強化を進めている。そんな中、特に注目を集めているのが、ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンに所属するアイルランド代表FWエヴァン・ファーガソンの名前だ。
かつて “1億ポンドの男” とも称されたその才能は、一時期の輝きを放っていた。2022-23シーズンにはプレミアリーグで10ゴールを挙げるなど、18歳にしてその名を轟かせた。しかし、その後は鳴かず飛ばず。ローン先のウェストハムではわずか3試合の出場に留まり、ゴールもゼロ。決して順風満帆とは言えない時間が続いた。
エヴァン・ファーガソンは現在20歳。プロキャリアを再び軌道に乗せるためには、プレッシャーの少ない環境で自信を取り戻す時間が必要だ。セルティックはその意味で、理想的な選択肢となるかもしれない。
ジャーナリストのグレアム・ベイリー氏は「フォームと自信を取り戻すには、セルティック以上の場所があるだろうか?」と疑問を投げかけつつ、ローン移籍が関係各所にとって「理にかなっている」とコメント。
また、元アイルランド代表DFであり、ファーガソンの父親の親友でもあるリチャード・ダン氏も、「彼は毎週出場できる場所を探している」と語り、継続的なプレー機会の重要性を強調している。
プレミアリーグでの苦戦は、本人にとってもブライトンにとっても不本意なものだった。元イングランド代表FWボビー・ザモラ氏も「エヴァンはクラブで最高のフィニッシャー」と評しており、そのポテンシャルは未だ健在だ。
一方で、元GKのシェイ・ギヴン氏は「 “君は私の選手だ”と信じてくれる監督が必要」と語り、セルティックでの環境が再起へのカギになると分析している。
セルティックは、古橋亨梧の後継者を探しており、アダム・アイダとの競争を促す存在としてファーガソンを高く評価している。英『Gambling.com』も、セルティックがファーガソンの移籍先として最有力候補と報じており、実現すればゴール不足の解消に繋がるかもしれない。
ファーガソンの話題が先行しているものの、セルティックは他のポジションでも着実に補強を進めている。アルビレックス新潟の23歳DF稲村隼都の獲得も目前との報道がある。
左利きでセンターバックとレフトバックをこなす彼のユーティリティ性は、チームにとって大きな武器となるだろう。本人も「サッカー人生がようやく始まった気がする」と日刊スポーツに語っており、海外での挑戦に強い意欲を見せている。
セルティックは、国内リーグと欧州の舞台での成功に向け、静かに、しかし確実に準備を進めている。エヴァン・ファーガソンという名の“眠れる獅子”がセルティック・パークで再び目を覚ますのか。