スロバキアで開催中のU-21欧州選手権が、欧州各国のスカウトたちにとって絶好の舞台となっている中、とりわけ注目を集めているのがウクライナ代表のストライカー、ヴラディスラフ・ヴァナトだ。
ディナモ・キエフでプレーする23歳は、今季公式戦45試合で21得点9アシストを記録。すでにプレミアリーグの複数クラブが熱視線を送っており、この夏のマーケットで争奪戦が勃発する可能性が高まっている。
2015年からディナモ・キエフの下部組織で育ち、2021年にトップ昇格を果たしたヴァナト。ここ数年で急速にその才能を開花させ、2024-25シーズンには30ゴール関与という堂々たる数字を残した。ウクライナ・プレミアリーグでの得点力に加え、A代表でも10試合に出場するなど、経験値の面でも将来性は折り紙付きだ。
英『TBR Football』のグレアム・ベイリー氏は、「U-21欧州選手権で最も魅力的なアタッカーの一人」と称賛。左足から繰り出すシュート精度と、ボックス内での嗅覚はプレミア勢の興味を引くには十分すぎる材料となっている。
そんなヴァナトには、アーセナル、アストン・ヴィラ、マンチェスター・ユナイテッド、ニューカッスル・ユナイテッドの4クラブが関心を寄せていると、英『TBR Football』が報じており、さらに英『TeamTalk』によれば、トッテナムやチェルシーも水面下で動いているという。
各クラブの思惑も興味深い。アーセナルは、ワールドクラスのストライカー獲得を模索する中で、23歳のヴァナトを「中長期的な投資対象」と位置づけている。アストン・ヴィラは、チームの骨格を強化するプロジェクトの一環として、同選手に高い評価を与えており、ユナイテッドは育成重視の方針の下で彼をリストアップ。
一方のニューカッスルは、イサクのバックアップとしてだけでなく、将来的なエース候補として注目しているという。
ウクライナ代表でキャプテンを務めるオレクサンドル・ジンチェンコが、ヴァナトのプレミア挑戦を後押しするキーパーソンになるかもしれない。英『TeamTalk』によれば、ジンチェンコは今夏の移籍が濃厚とされ、ACミランとの交渉が進んでいるが、その前にアーセナルへ「最後の贈り物」を届ける可能性があるという。
代表で共にプレーする中で信頼関係を築いてきた2人。ジンチェンコはかつて、ミハイロ・ムドリクにアーセナル加入を強く勧めたことで知られており、今回も同様にヴァナトに対してロンドン行きを説得する可能性は十分にある。
アーセナル側も、ヴァナトの能力を高く評価しており、荒削りながらも決定力に秀でたフィニッシャーとしてスカッドに迎え入れることを検討中。すでにヴィクトル・ギョケレスやオリー・ワトキンスの獲得候補に名を連ねているが、よりコストパフォーマンスに優れるヴァナトの存在は、彼らとは異なるベクトルで魅力的に映っているようだ。
ヴァナトとディナモ・キエフの契約はあと2年残されているが、本人は次のキャリアステップに進む意思を持っており、U21欧州選手権での活躍次第では一気に評価が跳ね上がる可能性も。各クラブがどのような条件でオファーを提示するのか、今後の動きから目が離せない。