プレミアリーグの覇権奪還を目指すリバプールが、今夏の移籍市場で本格的な補強攻勢を仕掛けている。イングランド国内メディア『The i Paper』によれば、ボーンマス所属のハンガリー代表DFミロシュ・ケルケズ獲得に向けた交渉が「最終局面」に突入し、今週末にも決着する可能性があるという。
移籍金はおよそ4000万ポンドから4500万ポンドに達する見込みで、これは同クラブが既に合意に至ったフロリアン・ヴィルツ(レバークーゼンから1億1600万ポンド)、そしてジェレミー・フリンポンに続く、今夏3人目の大型補強となる。
ボーンマスとの交渉はここ3週間にわたり、水面下で着実に進展。リバプールのスポーツディレクター、リチャード・ヒューズと、ボーンマス側の責任者サイモン・フランシスの間で詳細な話し合いが続けられてきた。
移籍金の分割やアドオンを含めた支払い構造が焦点となっているが、同紙は「両クラブの間で合意は目前」と報道。ケルケズ本人も、レアル・マドリードやマンチェスター・シティといったビッグクラブからの興味が報じられる中、リバプール行きを強く希望しているとされ、すでに1月時点で同選手に照準を定めていたとも言われている。
仮に今週中に合意がまとまれば、ケルケズはリバプールと5年契約を締結し、ロバートソンとポジションを争うことになる見通しだ。
このケルケズの加入が決まれば、今夏のリバプールによる補強投資総額はすでに1億5000万ポンドを優に超える。中でもフロリアン・ヴィルツ獲得は、英国移籍市場史上でも記録的な取引となる可能性がある。
英『The Guardian』によれば、レバークーゼンは当初1億2600万ポンドの移籍金を要求していたが、リバプール側は粘り強い交渉の末、アドオン込みで1億1600万ポンドにまで引き下げることに成功。中盤にクリエイティビティとゴール前での決定力を備えた若き才能を加えることで、チームの骨格に厚みが加わるのは間違いない。
ロバートソンの将来は不透明に…アトレティコが虎視眈々
ケルケズの加入は、長年にわたり左サイドを支えてきたアンディ・ロバートソンの将来に不安を投げかける。スコットランド代表キャプテンは、契約が残り1年を切っており、6月のインターナショナルマッチ期間中にはメディアに対して「確信は持てない」と語るなど、移籍の可能性をにおわせていた。
『Daily Mail』によると、スペインの強豪アトレティコ・マドリードが同選手の獲得を検討しており、リバプール側もオファー内容次第では売却に傾く可能性もあるという。クラブに長く貢献してきた功労者だけに、去就の行方は大きな注目を集めている。
アルネ・スロット監督のもと、リバプールは明確なビジョンを持ってチーム再建を進めている。ケルケズ、ヴィルツ、フリンポンという若く優秀な選手たちの補強は、単なる戦力追加ではなく、新たな時代に向けた勝つための布石となる。
これまでにも名将たちが築いてきたアンフィールドの伝統を受け継ぎつつ、未来に向けた挑戦が始まろうとしている。プレミアリーグに対するリバプールの明確な意思表示は、今後の移籍市場でもさらに波紋を広げていくだろう。