トレント・アレクサンダー=アーノルドの衝撃的な退団から間もないリバプールに、再び不穏な空気が立ち込めている。スペインの名門レアル・マドリードが、新たな標的としてフランス代表DFイブラヒマ・コナテをリストアップしたと報じられている。まるで先日実行された「アレクサンダー=アーノルド計画」の再演を思わせるような動きに、アンフィールドの首脳陣も神経を尖らせている。
スペイン紙『Marca』の報道によれば、レアル・マドリードは2026年夏に契約が終了するイブラヒマ・コナテの動向を注視しており、フリー移籍での獲得を見据えているという。2025-26シーズン終了をもってリバプールとの契約が満了するコナテは、現時点で新たな契約にサインしていない。
来年1月には海外クラブと自由に事前交渉が可能となるため、リバプールにとっては極めてリスクの高い状況だ。アレクサンダー=アーノルドのケースを考慮すれば、クラブは同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。
事実、アーノルドは今夏、クラブワールドカップ出場を急いだマドリードにより、1000万ポンドの移籍金で獲得された。実質フリー移籍に近いこの一件は、クラブの交渉戦略の脆弱さを露呈する結果となった。
リバプール側は当然、コナテの流出阻止に向けて動き始めているが、交渉は決して順風満帆とはいえない。関係者の話として、コナテが現行年俸から40%の昇給を要求していると伝えており、この条件がリバプール側の足かせとなっているようだ。
本人のInstagramの投稿などからは、アンフィールドでの次なるシーズンに向けた前向きな姿勢も垣間見えるが、サインがなければ何の保証にもならない。レアル・マドリードがその隙を見逃すはずもなく、事態は緊張感を増すばかりだ。
守備の要を失うリスク…イブラヒマ・コナテの存在感は絶対的
リバプールがこれほどまでにコナテの去就に神経質になるのには当然理由がある。フィルジル・ファン・ダイクとのコンビで堅固なセンターバックの軸を担い、2024-25シーズンはプレミアリーグ31試合中30試合に先発。アルネ・スロット新体制の下、14試合のクリーンシートを記録した守備陣の中核を担った。
RBライプツィヒからの加入以来、通算132試合出場を重ね、5つのトロフィー獲得に貢献してきた。そんな選手がフリーで流出するとなれば、リバプールにとっては一大事であることは言うまでもない。
レアル・マドリードが採用する「契約満了間近の選手をフリーで獲得する戦略」は今や常套手段となっている。過去にはダビド・アラバやアントニオ・リュディガー、キリアン・エムバペをその手法で確保。さらには今夏のアレクサンダー=アーノルドとスター選手にもその方針は貫かれている。
この動きにはサッカー界から賛否両論の声も上がっており、一部ではFIFAの介入を求める声も少なくない。選手の契約満了を悪用した市場支配を巡り、規制強化の必要性を訴える評論家も存在する。
イブラヒマ・コナテという「守備の柱」をフリーで失うことになれば、それらの強化策も根本から見直さなければならなくなる。トレントの流出で得た教訓が活かされるのか、それともまたしても“無料放出”の悪夢に見舞われるのか。