トッテナム・ホットスパーのキャプテン、ソン・フンミンは、2025年夏の移籍市場において注目度ナンバーワンの存在だ。英『talkSPORT』によると、プレシーズン中に自身の去就を巡る協議が予定されており、その内容次第では、10年近く在籍した北ロンドンを離れる可能性があるという。
クラブは5月、ソンとの契約オプションを行使し、契約延長を決定。だが、これは決して慰留を意味するわけではない。市場価値の保護という側面が強く、本人の意向次第で扉はいつでも開かれる構えだ。
そんな中、再びサウジ・プロリーグの影がちらついている。英『The Telegraph』や英『talkSPORT』が報じたところによると、アル・アハリ、アル・ナスル、アル・カーディシーヤの3クラブが興味を示しており、4000万ユーロに及ぶ移籍金を用意しているという。
とりわけ、AFCチャンピオンズリーグを制したアル・アハリは、攻撃陣の補強に余念がない。すでにガレーノを獲得しているものの、左サイドでの突破力と得点力を兼ね備えた新たなスター選手を欲している。
さらに注目すべきは、提示されている年俸の規模だ。報道によれば、ソンに対して年間3000万ユーロという破格の条件が準備されており、仮に合意となれば、韓国の放送局との巨額放映権契約も見込まれているという。これはサウジが単なる強化だけでなく、アジア市場を視野に入れた戦略を採っている証拠だ。
一方で、キャプテンとしての立場は依然として強固だ。2015年にレバークーゼンから加入して以来、ソンはトッテナムで454試合に出場し、173ゴールを記録。クラブ史に名を刻む活躍を続けてきた。
マティス・テルの加入により、左サイドのポジション争いが一層激化する見通しだが、それでもソンの影響力は衰えていない。新監督に就任したトーマス・フランクとも、プレシーズン前に話し合いが持たれる予定で、戦術的なビジョンがソンの決断に影響を与える可能性もある。
MLSやトルコからの関心、さらには古巣レバークーゼン復帰の噂も囁かれているが、現時点で正式なアプローチはない。また、8月3日に韓国で行われるクーパン・プレイシリーズでの出場義務が契約上定められており、移籍タイミングにも制限が生じている状況だ。
今のところ、トッテナムに対して正式なオファーは届いていない。しかし、サウジ勢の動きは加速しており、近く何らかの進展があることは想像に難くない。
クラブはキャプテンを手放す意志はないものの、本人が海外移籍に前向きであれば、無理に引き止めることはしない方針とされている。あらゆる条件が整った今、残すはソン・フンミン自身の決断だけだ。