ウェストハム・ユナイテッドの攻撃的MFモハメド・クドゥスを巡る争奪戦が加速している。複数クラブが関心を寄せる中、最も積極的な動きを見せているのがチェルシーだ。
今季のブルーズは攻撃の厚みに課題を抱え、特に左サイドでは明確なファーストチョイスを見出せなかった。チームの攻撃を牽引したのはコール・パルマーとペドロ・ネトだったが、その依存度の高さは明白で、前線の層を厚くする必要がある。
その打開策として浮上したのが、ガーナ代表の24歳クドゥス。昨季のプレミアリーグでは18ゴール10アシストと輝きを放ったが、今季は数字が減少し、公式戦35試合で5ゴール4アシストにとどまっている。だがその万能性は今なお高く評価されており、両ウィングに加えトップ下、さらにはCFとしてもプレー可能なその特性は、多くのクラブにとって魅力的な要素だ。
英『The Guardian』によれば、チェルシーはウェストハムと具体的な交渉に入っており、選手を含めたトレード案も提示したとされる。だがウェストハムは一貫してキャッシュのみを要求しており、交換要員を含めた提案には耳を貸していないという。
クドゥスの契約には、プレミアリーグのクラブにのみ適用される8500万ポンドのリリース条項が設定されており、これは7月1日から10日間限定で有効とされている。つまり、チェルシーを含む関心クラブにとっては時間との戦いでもある。
マンチェスター勢やアーセナルも静かに注視
クドゥスを狙うのはチェルシーだけではない。マンチェスター・ユナイテッドやニューカッスルもすでに水面下で動いているとされ、アーセナルやトッテナムもその才能をリストアップしていると報じられている。
アーセナルはこの夏、前線強化に本腰を入れており、アレクサンデル・イサクやヴィクトル・ギョケレシュ、ベンヤミン・シェシュコらと並行してクドゥスも検討対象に加えたという。さらに、チェルシー所属のノニ・マドゥエケにも関心を示しているとの情報もある。
一方のチェルシーは、すでにリアム・デラップを3000万ポンドで獲得済みであり、スポルティングCPからダリオ・エスーゴ、ストラスブールからママドゥ・サーといった若手補強も進めている。さらに、ブライトンのジョアン・ペドロを巡ってはニューカッスルとの争奪戦が報じられており、クドゥス獲得に向けた本気度がどこまでなのか、クラブの全体戦略が問われる局面に入っている。
チェルシーの攻撃陣にはすでにパルマーやネトといった有力選手が控えており、そこにクドゥスが加わった際のポジション争いも見過ごせない。先発出場の保証がなければ、ガーナ代表のスターが新天地に移ることに慎重になるのは当然だ。
今後の交渉の焦点は、放出条項の有効期限である7月10日までに移籍金を準備できるかどうか、そしてウェストハムが要求する条件を満たせるクラブが現れるかどうかだ。果たしてクドゥスの去就は、どのクラブのユニフォームに決まるのか。