トッテナム・ホットスパーの象徴的存在であり、韓国代表のキャプテンでもあるソン・フンミンの去就に注目が集まっている。クラブは契約延長オプションを行使したものの、それが即ち残留を意味するわけではない。欧州移籍市場が熱を帯びる中、ソンの未来は極めて不透明な状況にある。
ここにきて再浮上したのが、サウジ・プロリーグからの関心だ。アル・アハリ、アル・ナスル、アル・カディシアの3クラブが、今夏の移籍市場でソン・フンミンの獲得に本腰を入れていると、英『talkSPORT』が報じている。中でもアル・アハリは、今冬にポルトからガレノを獲得したにもかかわらず、依然として左サイドの強化を望んでいる。
移籍金として提示される額は最大で4000万ユーロにも達する可能性がある。また、ソンに対しては年間約3000万ユーロという破格の年俸が用意されており、その背景には韓国国内でのテレビ放映権の確保を狙った戦略があると見られている。
サウジ側の投資は、単なる戦力補強にとどまらず、商業的なリターンをも視野に入れている。特にAFCチャンピオンズリーグを制した実績を持つアル・アハリは、アジア市場への影響力拡大を図っており、ヴィニシウス・ジュニオールのようなスター選手と並ぶターゲットとしてソンをリストアップしているという。
今夏からトッテナムの指揮を執ることが決まっているのは、前ブレントフォード監督のトーマス・フランク。彼の起用はクラブに新たな風を吹き込むことが期待されているが、同時に選手の序列や起用法にも影響を及ぼすことは避けられない。
ソンにとっては、この新体制下での自分の立ち位置を見極める重要なタイミングとなる。クラブはバイエルン・ミュンヘンから若きアタッカー、マティス・テルを完全移籍で獲得しており、左サイドのポジション争いが激化する可能性がある。
MLSやトルコのクラブもソン獲得に関心を示しているとされ、さらに古巣であるバイエル・レバークーゼンでも、内部で復帰の可能性について議論が交わされたと独『Bild』が報じている。ただし、現時点で具体的なアプローチはなく、他の補強ポイントが優先されているようだ。
一方で、クラブとソンの間には深い信頼関係が築かれており、トッテナムは本人の意思を尊重する姿勢を貫いている。移籍の是非は最終的にソン・フンミン自身の決断に委ねられることになりそうだ。