来季はチャンピオンシップでの戦いに身を投じるレスター・シティが、早くも来季の巻き返しに向けて動き出した。プレミアリーグからの降格という苦い結果を受け、クラブは指揮官ルート・ファン・ニステルローイの解任を決断。2024-25シーズンの昇格争いに備え、ラッセル・マーティンら新体制構築に向けた動きが加速している。
元マンチェスター・ユナイテッドの名ストライカーとして知られるファン・ニステルローイ氏は、スティーブ・クーパーの後任としてレスターに招聘され、2027年までの長期契約を結んでいた。しかし、そのビジョンは現実と大きく乖離してしまった。
今季、公式戦26試合でわずか5勝にとどまり、18敗を喫するなど、期待とは裏腹の低迷。守備陣の脆弱さと攻撃力不足が同居し、2月から4月にかけては8試合連続無得点という異常事態に陥った。結局、チームはプレミアリーグ復帰どころか、降格圏を脱出することすらできず、解任は時間の問題と見られていた。
さらに、クラブ内部での意思疎通不足やPSR(損益持続可能性規則)違反による財政リスクも絡み、ファン・ニステルローイ体制は不安定さを増す一方だった。
ラッセル・マーティン招聘目前?クラブが昇格請負人に接触か
クラブ上層部が後任に熱視線を送っているのが、前サウサンプトン監督のラッセル・マーティン氏だ。2024年にプレーオフを勝ち抜き、サウサンプトンを見事プレミアリーグに引き上げた手腕を評価されており、「数日中に契約合意」との報道もある。
マーティン氏は昨年12月にサウサンプトンを離れて以降フリーの状態にあり、経験豊富な指揮官としてレスターにとっては理想的な人材だ。特に、チャンピオンシップの昇格レースを熟知している点は、クラブにとって大きな強みとなる。
チーム再建に向けた戦略の一環として、かつてのプレミア王者メンバーであるジェフリー・シュルップの復帰も検討されている。
クリスタル・パレスとの契約が6月で満了となる32歳のシュルップは、現在スコットランドのセルティックにレンタル中。レスター側は複数ポジションをこなせる彼の柔軟性と経験値に注目しており、フリー移籍での獲得を視野に入れているようだ。
彼の加入は、若手中心となる新チームの中で精神的支柱となることも期待されており、クラブOBの“帰還”が現実味を帯びてきている。
ただし、PSR違反に関する問題も依然としてクラブを取り巻く大きな課題だ。5月20日には、2023-24シーズンの収支バランス違反での告発が発表されており、勝ち点剥奪や移籍制限といった制裁が科されるリスクも存在する。
この問題はクラブの補強戦略や士気、さらには来季のリーグ戦に直接影響を与える恐れがあり、マーティン新体制にとっても大きな障害となり得るだろう。