リバプールが今夏の移籍市場で注目の若手に本格的なアプローチを仕掛けている。オランダの名門アヤックスに所属する19歳ディフェンダー、ヨレル・ハトの獲得に向け、クラブが直接交渉に乗り出したと『Football Transfersl』が報じている。
ヨレル・ハトは将来を嘱望される逸材であり、センターバックと左サイドバックの両方を高いレベルでこなすユーティリティ性を武器に、リバプールの守備再編におけるキープレイヤーとして注目を集めている。
オランダU-21代表でもプレーするヨレル・ハトは、19歳という若さながらアヤックスのトップチームで100試合以上に出場し、4ゴール9アシストを記録している。経験値と安定感を兼ね備えた次世代型のディフェンダーとして欧州各国のビッグクラブが注目しており、その中でもリバプールの関心が現実味を帯びてきた。
スタッツも彼の評価を裏付けている。過去1年間の欧州主要リーグにおけるフルバックの中で、パス成功率は89.4%とトップ1%に位置し、空中戦勝利数でも上位12%にランクイン(90分あたり1.77回)するなど、守備だけでなくビルドアップにも強みを持つ。プレースタイルはジョー・ゴメスに近く、相手の攻撃を潰すだけでなく、ボール保持時にも落ち着いて展開できる。
彼の推定市場価値は4620万ユーロで、範囲としては4160万ユーロから5080万ユーロとされている。若手としては破格とも言える評価だが、その金額にも納得のポテンシャルを秘めている。
リバプールがヨレル・ハト獲得に踏み切る背景には、複数の守備的課題が横たわっている。左サイドバックでは、長年の主力であるアンドリュー・ロバートソンにアトレティコ・マドリードからの関心が寄せられており、後継者確保の必要性が高まっている。ミロス・ケルケズの獲得も視野に入っているが、ハトの加わることで左サイドの選択肢が飛躍的に広がる。
またセンターバックでは、若手のジャレル・クアンサーがレバークーゼン移籍間近と報じられ、イブラヒマ・コナテも契約延長の動きが見えない中、将来を担う守備者の確保は喫緊の課題だ。新監督アーネ・スロット体制の下で即戦力かつ将来性もあるハトの加入は、守備ラインの安定につながる可能性が高い。
さらに、フィルジル・ファン・ダイクが同郷の後輩であるハトに強い好感を抱いている点も見逃せない。国内メディアによれば、ファン・ダイクはハトを高く評価しており、後継者としての素質も認めているという。自身のキャリアが終盤に差し掛かっている中で、その推薦はリバプールにとって重要な意味を持つ。
とはいえ、交渉は一筋縄ではいかない。アーセナルやチェルシーもヨレル・ハトに強い関心を示しており、プレミアリーグ内での争奪戦が避けられない状況だ。特にアーセナルは早くから動向を追っており、チェルシーも左サイドの補強を急務としている。ライバルクラブとの綱引きは今後さらに激化していくだろう。
アヤックス側も選手売却に前向きな姿勢を見せているとされるが、過去に経済的困難を抱えた時期に売却が見送られていたこともあり、今回は移籍金が高騰する可能性がある。リバプールとしては決断を迫られることになるが、将来的なリターンを見込める投資と判断するのであれば、ゴーサインを出すタイミングは今夏しかないかもしれない。