来季に向けた戦力再構築を進めるエヴァートンが、今夏の移籍市場で若き才能の確保に本腰を入れている。ターゲットとなっているのは、昨季イプスウィッチ・タウンで印象的な活躍を見せた21歳の攻撃的ミッドフィルダー、オマリ・ハッチンソンだ。
チェルシーのアカデミーで育ち、2023年にイプスウィッチへと渡ったハッチンソンは、昨季のプレミアリーグで31試合に出場。3ゴール2アシストという記録以上に、そのプレースタイルと安定感が評価されている。ソフォスコによると、1試合平均45.1回のボールタッチ、パス成功率84パーセント、6度のビッグチャンス創出という数字を残しており、攻撃の起点として不可欠な存在だった。
特筆すべきは、その前年度の2023-24シーズン。チャンピオンシップでイプスウィッチの昇格に貢献し、50試合で11ゴール6アシストを記録。キーラン・マッケンナ監督も当時のインタビューで、プレミアリーグで通用する資質を備えた選手として高く評価していた。
エヴァートンは過去に彼のローン移籍を断った経緯があるが、今夏は状況が一変。ヒル・ディッキンソン・スタジアムへの移転を控える中で、若く成長余地の大きい人材を確保する方針を強めており、ハッチンソンはそのプロファイルに合致している。
補強ポイントに完全合致する21歳の若きミッドフィルダー
エヴァートンは今夏、右ウイングや攻撃的ミッドフィルダー、さらにはストライカーの補強を優先事項に掲げている。昨季、攻撃の中心を担っていたアブドゥライエ・ドゥクレが6月末で退団。さらに、ジェスパー・リンドストロムやジャック・ハリソンといったローン組もクラブを離れ、前線の厚みが一気に失われつつある。
こうした背景もあり、ハッチンソンは即戦力候補として最も注目されている存在だ。ポジション的にもドワイト・マクニールらと左右のウイングで競争可能であり、デビッド・モイーズ監督のチームに新たな選択肢を与えることになる。
クラブはすでにカルロス・アルカラスの完全移籍を成立させており、フルアムからケニー・テテの獲得も間近と報じられている。7月1日からの新会計年度を控え、さらなる補強資金の投入も視野に入れており、ハッチンソンへの本格的なアプローチも時間の問題とみられている。
とはいえ、交渉は容易ではない。英『Daily Mail』によれば、ブレントフォード、ウェストハム、フラムといったプレミアの中堅クラブがすでに動向を追っており、加えてボルシア・ドルトムントやRBライプツィヒといった国外クラブも関心を示している。
イプスウィッチにとっては、昇格という目標を見据えた上での資金確保が課題となる中、移籍金の条件次第では売却を決断する可能性もある。
プレミアリーグでの経験と若さ、多彩なポジション適性を兼ね備えたハッチンソンは、モイーズ体制下のエヴァートンにとって非常に魅力的な補強となるだろう。争奪戦は激しさを増す一方だが、移籍市場が本格化する7月以降、エヴァートンがこの逸材を確保できるのか。