プレミアリーグの上位定着を目指すアストン・ヴィラが、2025年夏の移籍市場で積極的な一手を講じようとしている。仏『Foot Mercato』によると、ターゲットは昨季トルコで躍動したブラジル人MFガブリエル・サラ。かつてノリッジ・シティでも活躍した同選手の再プレミア挑戦が現実味を帯びている。
ウナイ・エメリ監督のもと、昨季チャンピオンズリーグ準々決勝まで進出したアストン・ヴィラだがプレミアリーグでは熾烈な順位争いに敗れ、あと一歩のところでチャンピオンズリーグ出場権を逃した。しかし、それでも野心を失うことなく、今夏の補強では中盤の刷新を目指している。
現在、クラブが本格交渉に入ったとされるのが、ガラタサライに所属するガブリエル・サラ。ノリッジ時代にはEFLチャンピオンシップで14ゴール13アシストという目を引くスタッツを残し、2024年夏に約1500万ポンドでガラタサライに加入。初年度からトルコ・スーパーリーグのタイトル獲得に貢献した。
2024/25シーズンは公式戦42試合に出場し、2ゴール10アシスト。トルコリーグでは平均2.2本のキーパス、1試合あたり3.9回のボールリカバリーを記録するなど、攻守両面で強烈なインパクトを残した。WhoScoredによると、ドリブル成功率42%、グラウンドデュエル勝率43%、空中戦勝率52%と、バランスの取れた万能型ミッドフィルダーであることが分かる。
財政圧力のなかでも止まらぬ補強。PSR問題と売却の駆け引き
一方で、アストン・ヴィラはプレミアリーグの収益性・持続可能性規則(PSR)への対応に追われている。ルーカス・ディニや守護神エミリアーノ・マルティネスといった主力選手の売却も現実的な選択肢になりつつあり、マルティネスに関してはマンチェスター・ユナイテッドが関心を示しているとの報道も。
英『Sky Sports』でフットボール財務の専門家キーラン・マグワイア氏は、ヴィラを「財政的に最も懸念されるクラブの一つ」と指摘しており、収入100ポンドに対して91ポンドを人件費に投じている現状を問題視している。
ただし、ガラタサライとの交渉では、サラの獲得とディニやマルティネスの放出がリンクしている可能性もあり、双方にとって財政面と戦力強化の両面を満たす “WIn-Win” の構図が生まれつつある。なお、ジョン・デュランの5300万ポンドでの売却によってPSR問題はすでに解消されたとの見方もあるが、多くの報道機関は今なお留意すべき問題として扱っている。
アストン・ヴィラの補強は中盤だけにとどまらない。スペイン代表FWフェラン・トーレスの獲得を検討しているほか、クリスタル・パレスのエベレチ・エゼといった攻撃的選手にも関心を寄せている。
今後のヴィラの補強動向は、単なる選手の出入りにとどまらず、クラブの財政戦略、そしてエメリ体制の成熟度を測るうえでも重要な試金石となる。ガブリエル・サラの移籍が実現すれば、それはヴィラにとって単なる補強以上の意味を持つことになるかもしれない。