“忘れ去られた” タイレル・マラシア売却に苦戦するマンチェスター・ユナイテッド

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“忘れ去られた” タイレル・マラシア売却に苦戦するマンチェスター・ユナイテッド Manchester United

マンチェスター・ユナイテッドは選手の売却において思わぬ障害に直面している。その矛先となっているのが、オランダ代表の左サイドバック、タイレル・マラシア。昨季はローン先のPSVでエールディヴィジ制覇に貢献しながらも、現在の市場では獲得に乗り出すクラブが現れず、その去就が宙に浮いた状態となっている。

2022年にフェイエノールトから加入し、テン・ハフ監督体制下で最初の補強選手となったマラシア。加入初年度は39試合に出場するなど、一定の存在感を見せた。しかし、深刻な膝の負傷が彼のキャリアを一変させた。手術の失敗と再手術を経て18ヶ月にわたる長期離脱を強いられたことで、その後の出場はわずか3試合にとどまっている。

一時はクラブからの発信も途絶え、選手の所在を疑う陰謀論まで出回るなど、異様な状況も注目を集めた。PSVでのタイトル獲得という実績がありながら、マンチェスター・ユナイテッドは今も彼の移籍先を見つけることができずにいると、英『The Athletic』は報じている。

売却の遅れが補強戦略にも影を落とす

マラシアのような「売却難航組」の存在は、今夏の補強戦略にとって大きな足かせとなっている。ルベン・アモリム監督が率いる体制では守備陣の再構築が求められているものの、余剰戦力の整理が進まない限り、新戦力の獲得もままならないのが実情。

すでにユナイテッドは、ウォルヴァーハンプトンからマテウス・クーニャを6250万ポンドで獲得し、ブレントフォードのブライアン・ムベウモにも6000万ポンド超のオファーを準備中だが、チャンピオンズリーグ出場権逃しという現実の中で、今後の資金繰りは選手売却に依存する形となりつつある。

クラブ内部では、「1ペニーたりとも無駄にはできない」との声も上がっており、マラシアに限らず、マーカス・ラッシュフォード、ジェイドン・サンチョ、アントニー、さらにはアレハンドロ・ガルナチョといったタレントの名前までが放出候補として取り沙汰されている。

各選手の事情も一様ではない。サンチョはドルトムントへの復帰が最有力視されるも、ユナイテッドが望む2500万ポンドの売却益を得るのは困難とされる。ラッシュフォードはローン移籍の可能性が高く、完全移籍には4000万ポンドの値が付けられている。

アントニーもレアル・ベティスで一定の活躍を見せたが、スペイン側には買い取り資金がないと報じられ、交渉は難航。ガルナチョに至っては、チェルシーが関心を示しているものの、過去の行動に対するクラブ内部の懸念がネックとなっている。

特にマラシアのように、負傷歴が深く、パフォーマンスに不安が残る選手は、たとえタイトル獲得という実績があっても市場での評価は低くなる。選手の能力やポテンシャルだけでなく、健康状態や性格、行動までもが問われる時代。ユナイテッドが掲げる「リビルド」は、単なる補強以上に、構造的な問題解決が求められそうだ。