夏の移籍市場が本格化する中、トッテナム・ホットスパーがリヨンに所属するストライカー、ゲオルゲス・ミカウターゼの獲得に向けて具体的な動きを見せている。西『Fichajes』によれば、すでにロンドンのクラブは選手サイドと初期交渉を進めており、スカウト部門は1年以上にわたり徹底的な調査を続けてきたという。
24歳のジョージア代表フォワードは、欧州各国で注目を集める逸材。昨季はリヨンで公式戦17ゴール11アシストを記録し、今夏のユーロ2024でもグループステージ突破の立役者として名を挙げた。国際舞台での堂々たるパフォーマンスが、プレミアリーグ勢の関心を一気に加速させている。
トッテナムは昨季、ヨーロッパリーグを制覇し、来季のチャンピオンズリーグ出場権を確保。新たにトーマス・フランク監督を招聘し、クラブ全体の再構築を進める中で、攻撃陣へのテコ入れが急務とされていた。主力ストライカーの得点力に疑問符がつく現状では、ミカウターゼのような決定力と柔軟性を備えた選手の加入が、チームに新たな次元をもたらす可能性がある。
多才なフィニッシャー、ジョージアの至宝が抱える移籍の現実
ミカウターゼの魅力は、単なる得点力にとどまらない。フランス代表のエムバペと比較されるそのプレースタイルは、スピードとパワーを兼ね備え、左右のウイングでも中央でも遜色なく機能する。味方を活かす視野の広さと、狭いエリアでも冷静にフィニッシュを決めきるセンスは、既に欧州のトップクラスに近いと評価されている。
さらに、彼の移籍が現実味を帯びている背景には、所属クラブのリヨンが抱える財政的な問題がある。同クラブは行政的な理由によりリーグ・ドゥ(2部)への降格が決定。財政健全化のためには主力選手の売却が不可避な状況となっており、ミカウターゼもその対象とみられている。
『Transfermarkt』は、ミカウターゼの市場価値を2200万ユーロと算出。トッテナムがこの若きストライカーを割安な価格で手に入れるチャンスは、まさに今といえるだろう。
新体制のトッテナムにとって、ミカウターゼの獲得は象徴的な意味合いを持つ。フランク監督が描く攻撃的なスタイルと、高い戦術理解度を必要とするシステムにおいて、複数ポジションでプレー可能な彼の存在は、非常に貴重な戦力になるはずだ。
加えて、彼にとってもこの移籍は大きな挑戦となる。フランス2部でのプレーを続けるより、チャンピオンズリーグ出場を控えるトッテナムで欧州の檜舞台に立つ方が、キャリアのステップアップとして最適だと考えるのは自然な流れだ。
同じジョージア代表で、ナポリからパリ・サンジェルマンへとステップアップしたフヴィチャ・クヴァラツヘリアの成功は、彼にとって明確な道標でもある。自国の英雄と同じように、プレミアリーグで名声を手にすることは、モチベーションの源になっているに違いない。
ミカウターゼの才能と可能性に賭けるトッテナム。両者の思惑が交錯する中で、交渉は佳境を迎えつつある。リヨンの事情、トッテナムの補強方針、そして本人の決意が重なった今、この移籍は時間の問題かもしれない。