守備の安定感を欠くシーズンが続くマンチェスター・ユナイテッド。再建を目指すクラブにとって、新たなゴールキーパーの補強は喫緊の課題となっている。伊『Football Italia』の報道によれば、ユナイテッドはアタランタに所属するマルコ・カルネセッキに正式オファーを提示したとされ、その金額は4000万ユーロに及ぶという。
カルネセッキは現在24歳。セリエAで着実に評価を高めてきた若手守護神だ。2024-25シーズンには公式戦44試合に出場し、18度のクリーンシートを記録。シュートストップの反応速度やポジショニング、さらにはビルドアップ能力においても成長を遂げており、アタランタの快進撃を陰で支える存在となっていた。
だが、アタランタ側が要求する移籍金は5000万ユーロに設定されており、両クラブ間ではおよそ1000万ユーロの開きが存在する。今後はボーナスやアドオンの条件次第で交渉が進展する可能性もあるが、ユナイテッドにとっては慎重な判断が求められる場面だ。
オナナの処遇が鍵に、移籍市場での駆け引きが本格化
マンチェスター・ユナイテッドのゴールキーパー事情を巡る混迷の背景には、アンドレ・オナナの存在がある。インテルから約5000万ユーロで加入したカメルーン代表は、プレミアリーグの環境に順応しきれず、安定感を欠くパフォーマンスが続いていた。
最近では、サウジアラビアのクラブがオナナに興味を示しているとの報道もあるが、具体的なオファーはまだ表に出ていない。ユナイテッドがカルネセッキ獲得に動くには、まずオナナの退団が不可欠とされており、この点が交渉の足かせとなっているのは間違いない。
加えて、控えGKであるアルタイ・バユンドゥルも出場機会を求めて移籍を志願しており、GKポジションにおける流動性は高まりつつある。クラブ全体の再構築を主導するINEOSグループは、選手の放出なくして新戦力獲得はあり得ないという原則を持っており、移籍市場での戦略的判断が一層重要となっている。
アタランタのカルネセッキに限らず、ユナイテッドは他の選手にも目を向けている。アストン・ヴィラのエミリアーノ・マルティネスや、リールに所属するルーカス・シュヴァリエなどもリストアップされている。しかしながら、いずれも安価での獲得は難しい状況だ。
昨季プレミアリーグ15位という屈辱の結果に終わったユナイテッドにとって、来季に向けての巻き返しはクラブ全体の命題となっている。既にマテウス・クーニャを獲得した攻撃陣に加え、守備の要として信頼できるゴールキーパーの存在は不可欠であることは言うまでもない。
伊ジャーナリストのアルフレード・ペドゥッラ氏も指摘するように、カルネセッキは適切な指導環境に身を置けば、数年以内に移籍金以上の価値を持つ選手に成長する可能性を秘めている。今こそ、ユナイテッドがこの才能に未来を託す時かもしれない。
クラブ史に新たなページを刻むため、マンチェスター・ユナイテッドがこの夏どのような決断を下すのか。