歴史的なFAカップ制覇を成し遂げ、2025-26シーズンのヨーロッパリーグ出場権も手にしたクリスタル・パレス。その中心で輝きを放ったのが、イングランド代表ミッドフィールダーのエベレチ・エゼ。トリッキーなドリブルと決定力を兼ね備えるアタッカーは、プレミアリーグのみならず欧州中からの注目を集めており、クラブにとってこの夏の最重要案件となっている。
移籍市場の動向に精通するファブリツィオ・ロマーノ氏によれば、アーセナルやトッテナムが具体的な関心を示しており、リリース条項が設定されていることも手伝って、退団は時間の問題とも言われる。FAカップ決勝でのマンチェスター・シティ相手のゴールは、その価値を証明するに十分なインパクトを残した。
当然ながら、クラブも手をこまねいているわけではない。すでに後継者の候補として、セリエAでブレイクを果たしたスイス代表ウインガーに熱視線を送っているという。
ダン・エンドイェに高まる期待!ナポリやドイツ勢との争奪戦も
パレスがターゲットとして内部でも評価が高まっているのが、ボローニャに所属するダン・エンドイェ。ロマーノ氏が英『GiveMeSport』に語ったところによれば、クラブはこの22歳のウインガーを、エゼに代わる即戦力として高く評価しているようだ。
エンドイェは、昨シーズンのセリエAで8ゴール4アシストを記録。決定力と創造性を兼ね備えたプレーヤーとして、ボローニャの攻撃陣を牽引した。その評価を決定づけたのが、コッパ・イタリア決勝でのパフォーマンス。決勝点を奪い、ボローニャに実に51年ぶりの主要タイトルをもたらした活躍は、イタリア国内外から大きな注目を集めている。
しかしながら、獲得に向けての道のりは平坦ではない。ナポリが個人条件の交渉を進めているほか、ドイツの複数クラブも獲得に動いており、競争は激化しているとされる。パレスがこの争奪戦に勝つためには、財政面だけでなく、プロジェクトの魅力を最大限に訴える必要がある。
それでも、こうした積極的な動きは、クラブがエゼの退団を現実的なシナリオと捉え、着実に準備を進めていることの表れだ。仮に移籍が成立しなかったとしても、チームの競争力を高める意図がある以上、エンドイェのような逸材の獲得は、パレスにとって有益な補強となるだろう。
クリスタル・パレスにとって、この夏の移籍市場はクラブの未来を左右する重要な分岐点となる。主力流出のリスクに備えながらも、新たな才能を迎え入れ、更なる飛躍を目指すオリバー・グラスナー体制。その戦略がどこまで実を結ぶか。