ベルギー・プロリーグ王者ユニオン・サン=ジロワーズで確かな実力を示したノア・サディキが、今夏の移籍市場で大きな注目を集めている。20歳にして中盤の要として29試合に出場し、クラブのタイトル獲得に大きく貢献。来季チャンピオンズリーグの舞台を狙うチームを陰で支える存在となった。
サディキの魅力は、そのユーティリティ性にある。本職はセントラルミッドフィルダーだが、試合の展開やチーム事情に応じて、フルバックやセンターバックでもプレーできる柔軟性を持ち合わせている。現代サッカーにおいて、複数ポジションをハイレベルでこなせる選手は希少であり、欧州の複数クラブが早くも争奪戦を繰り広げている。
ベルギー人ジャーナリストのサシャ・タヴォリエリ氏も、自身のX(旧Twitter)で同選手の去就に言及。リーズ・ユナイテッド、アイントラハト・フランクフルト、そしてブレントフォードの3クラブが獲得に名乗りを上げていると報じており、移籍市場の中でも特に注目度の高い案件となっている。
中盤再構築を急ぐリーズと、守備的MFの強化を狙うブレントフォード
来季のプレミアリーグ残留を目指すリーズ・ユナイテッドは、今夏の移籍市場で中盤の補強を最重要課題としている。すでにヴォルフスブルクからルーカス・ヌメチャ、ウディネーゼからジャカ・ビヨルを獲得するなど積極的な動きを見せているが、ミッドフィルダーの陣容はまだ万全とは言いがたい。
今季限りで退団が決定したジョシュア・ギラヴォギの穴は大きく、ローンからボーンマスへ戻ったジョー・ロズウェルも戦力外に。現在の主力はイーサン・アンパドゥ、田中碧、イリア・グルエフの3人に限られており、さらなる層の厚みが求められている。
リーズは以前、ストラスブール所属のハビブ・ディアッラ獲得に動き、2200万ポンドのオファーを提示したが、これは拒否された。その後ディアッラは3000万ポンドで昇格組サンダーランドへ移籍。中盤の即戦力確保に失敗したことで、サディキ獲得の必要性がより高まっている。
一方で、ブレントフォードも新体制の下で本格的な補強に乗り出している。ヘッドコーチにキース・アンドリュースを迎え、守備的MFの強化を進めるなかでサディキの名前が急浮上。タヴォリエリ氏によれば、同クラブはリーズ、フランクフルトに対抗する構えを見せている。
また、アイントラハト・フランクフルトも獲得レースに参戦中で、個人条件についてすでに選手側と交渉を進めているという。ブンデスリーガで上位争いを演じる彼らにとって、若き万能型MFの補強は将来への投資とも言える動きだ。
サディキの去就を巡るこの三つ巴の争いは、どのクラブが最終的に交渉をまとめるか読めない状況となっている。移籍の決着がつくタイミングは迫っており、各クラブのフロントは最後の一押しに注力している段階だ。