アモリム新体制の下、マンチェスター・ユナイテッドに重くのしかかる選手整理の高額コスト

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アモリム新体制の下、マンチェスター・ユナイテッドに重くのしかかる選手整理の高額コスト Manchester United

ルベン・アモリム監督の就任によって再建を目指すマンチェスター・ユナイテッド。今夏の移籍市場では、複数選手の売却による陣容の整理が予想されているが、簡単には進まない状況にあるようだ。選手たちの契約が壁となり、クラブが多額の金銭的負担を強いられる可能性が高まっている。

長期契約が足枷に、想定外の「放出コスト」が浮上

英『The Telegraph』が報じたところによると、ユナイテッドは今夏、不要と判断された選手たちの退団を進めるにあたり、数百万ポンド規模の「支払い」が必要になる可能性があるという。その主な要因となっているのが、対象選手たちの契約期間の長さだ。

現在放出候補と見なされているアレハンドロ・ガルナチョ、マーカス・ラッシュフォード、アントニーの3名は、いずれも2028年までの長期契約を結んでいる。クラブが完全移籍もしくは期限付き移籍を成立させたとしても、契約上の給与補助を求められるケースが多く、財政面での大きな負担は避けられないとされる。

例えば、アントニーはレアル・ベティスにレンタルされていたものの、給与の84%を同クラブが負担する契約になっていたと言われている。ユナイテッドは将来的な売却益を得るため、登録権の一部を保持する形の交渉を進めているとも報じられており、選手を「単に手放す」のではなく、将来の資金回収にも目を向けている姿勢がうかがえる。

また、ラッシュフォードも昨季アストン・ヴィラへローンで加入。給与の最大90%をヴィラが肩代わりしていたとされ、放出に伴う金銭的ハードルは極めて高い。ガルナチョに至っては、先日アストン・ヴィラのユニフォームを着ている姿が報じられるなど、新天地への移籍が濃厚とみられているが、契約期間が壁となり、交渉の行方は不透明だ。

サンチョやホイルンドも対象、クラブの補強戦略に影響も

ジェイドン・サンチョやラスムス・ホイルンドといった選手たちも、放出候補に含まれている。サンチョは週給20万ポンド超とも言われる高額給与がネックとなり、チェルシーとの交渉も破談に終わった。

ホイルンドについては、インテル・ミラノが関心を示しているものの、こちらも契約は2028年まで残されており、売却には慎重な交渉が必要になる見通し。

このような選手たちの整理に多額の資金が必要となれば、アモリム監督が望む新戦力の補強にも支障を来す可能性がある。移籍市場での柔軟性を欠くことで、来季以降のチーム力にも影響を及ぼすことは避けられないだろう。

実際、ユナイテッドはこうした状況に対して、選手売却時に「セルオン条項」を設定することで、将来的な利益確保を図る意向を持っているとも。また、期限付き移籍の際には、できる限り給与を相手クラブに負担させる「サラリーリカバリー」も重視しており、財政面でのダメージを軽減する方策を模索している。

とはいえ、選手放出を急ぐあまり、クラブ側の交渉力が弱まる可能性も指摘されており、実際の取引においては厳しい条件を突き付けられる場面も増えるだろう。アントニーとの交渉のように、登録権を分割保有する形での「間接的な売却益」も今後、より一般的な選択肢となるかもしれない。

ルベン・アモリム監督の下で新時代のスタートを切るマンチェスター・ユナイテッドにとって、今夏の選手整理は、単なるチーム再編の枠を超えた、経営的にも極めて重大な決断となりそうだ。