プレミアリーグの移籍市場が熱を帯びる中、ニューカッスル・ユナイテッドが新たなターゲットに照準を定めた。注目されているのは、マンチェスター・ユナイテッドに所属するイングランド代表FWマーカス・ラッシュフォードだ。
エディー・ハウ監督の下で新たな攻撃の柱を探し続けているニューカッスルは、27歳のラッシュフォード獲得に本格的に乗り出す可能性が浮上している。英『Football Insider』によれば、元エバートンCEOで現在はフットボールコンサルタントとして活動するキース・ワイネス氏が、ニューカッスルがローン移籍に買い取りオプションを付けた形で獲得に動く構えであると示唆したという。
ラッシュフォードは2024年末、ルベン・アモリム監督の就任以降、マンチェスター・ユナイテッドでの立場を大きく後退させた。意見の相違によって起用の優先度が低下し、事実上チームから外れる形となった。だが、ローン先のアストン・ヴィラでは見違えるようなパフォーマンスを披露。ウナイ・エメリ監督の下で17試合に出場し、10ゴールに関与するなどインパクトを残した。
アストン・ヴィラは4000万ポンドの買い取りオプションを保有していたが、最終的にこの権利を行使しない判断を下した。それでもこの活躍は他クラブの注目を集めるに十分であり、とりわけニューカッスルの補強戦略に合致する存在として浮上した形となる。
PSR遵守と攻撃陣強化の両立を狙うニューカッスルの一手
ニューカッスルは今夏、複数の選手にオファーを送ってきた。バーンリーのジェームズ・トラフォード、ノッティンガム・フォレストのアンソニー・エランガ、ブライトンのジョアン・ペドロといった選手への交渉はいずれも完了していない。
その中でラッシュフォードは、キャリアの再出発を模索する立場にある。ニューカッスルが彼にとってキャリア再生の理想的な舞台になる可能性も高く、双方にとって理にかなった動きといえる。
ただし、ニューカッスルには乗り越えるべき壁もある。プレミアリーグが定める「利益と持続可能性に関する規則(PSR)」がそれだ。3年間で1億500万ポンドまでの損失しか認められておらず、PIF(サウジアラビア政府系ファンド)によるクラブ買収以降、この枠内での経営が強く求められてきた。
ワイネス氏は『Football Insider』に対し、現在のニューカッスルにとって完全移籍は現実的ではないと語り、まずは1年間のローンで選手の状態を見極める形が最善だと指摘。リスクを抑えつつ、実力を見極めた上で将来的な買取に踏み切るというアプローチがクラブの財政事情にマッチするという。
一方で、ニューカッスルの財務状況には明るい兆しもある。同クラブのPSR計算から7200万ポンドの損失が除外される見通しであると報じており、今後の移籍市場において積極的な動きが期待されている。
現在ラッシュフォードには、スペインの強豪バルセロナからの関心も報じられている。仮にニューカッスルがこの争奪戦に勝利すれば、攻撃のスピードと決定力に厚みを加える大きな補強となるだろう。
今夏の移籍市場はまだ始まったばかりだが、ニューカッスルとラッシュフォードの交渉がどのような結末を迎えるのか。