フランスの逸材として脚光を浴びてきたレニー・ヨロ。リールで台頭した若きセンターバックは、2024年夏にマンチェスター・ユナイテッドへの移籍を決断した。最大で5890万ポンドにも達する移籍金が支払われたとされ、当時レアル・マドリードやリヴァプール、パリ・サンジェルマンといった欧州のビッグクラブもその才能に注目していた。
しかし、移籍から1年が経過したいま、スペイン発の報道が波紋を広げている。西『Defensa Central』によれば、ヨロはすでにこの決断に満足しておらず、レアル・マドリードへの移籍を断ったことを後悔していると伝えられている。
報道では、仮にレアル行きを選んでいれば即座にレギュラーの座を手にしていた可能性もあるとされており、サンティアゴ・ベルナベウのスターティングメンバーとしての未来を逃したことが彼の心に影を落としているという。
ヨロの決断に対し、スペインメディアの一部では「大金を選んだ代償」と評する声すら上がっている。さらに、レアル・マドリードがヨロのユナイテッド行きを受けて他の補強プランを白紙に戻したと伝えられており、クラブの守備陣に起きた混乱の一因にすらなったとする見方もある。
ただし、ヨロの家族からは異なる見解も出ている。彼の母親は最近、息子がユナイテッドでプレーすることを幼い頃から夢見ていたと語っており、スペインメディアの報道とは対照的な印象を与えている。
実際、ルベン・アモリム監督の下で成長を続けたヨロは、昨季33試合に出場して1ゴール1アシストを記録。若手ながらセンターバックの主軸として信頼を勝ち取り、その成長曲線は依然として右肩上がりだ。
対照的な決断を下したマスタントゥオーノ、夢の舞台に挑む
レニー・ヨロとは対照的に、夢を追ってスペインの名門を選んだ若者もいる。アルゼンチン代表ミッドフィールダー、フランコ・マスタントゥオーノは2025年8月にリバー・プレートからレアル・マドリードへ加入することが決定しており、その理由については本人の口からも語られている。
『DAZN』とのインタビューでは「ずっと夢だった。新しい国で新たな章が始まる」と心境を明かしており、指揮官であるシャビ・アロンソとの信頼関係が移籍の決め手になったと振り返る。
また、ジャーナリストのグレアム・ベイリー氏によると、マスタントゥオーノにはユナイテッドやパリ・サンジェルマンからの関心もあったが、レアルが常に本命だったという。元レアル監督であるサンティアゴ・ソラーリもこの移籍に深く関与しており、クラブを挙げての本気度が伝わる。
「世界最大のクラブ」「誰もがそこでプレーしたいと思う」と語ったこの19歳の姿は、まさに夢を信じて突き進む若者そのものだった。選手にとって移籍とは単なる所属クラブの変更ではなく、キャリアの分岐点であり、時に人生すら左右する大きな決断である。
ヨロとマスタントゥオーノの対照的な選択は、サッカー界における移籍の本質を浮き彫りにしている。チームのビジョン、指揮官の存在、個人の目標、家族の声、報道の影響…。すべてが複雑に絡み合いながら、若き才能たちは未来を切り拓いていく。