ウェストハム・ユナイテッドに所属するブラジル代表MFルーカス・パケタが、母国復帰を視野に入れている。中でも、彼がプロキャリアの出発点とするフラメンゴへの移籍が現実味を帯び始めており、その背景にはピッチ外の大きな問題が存在する。
昨年から続くイエローカード操作に関するベッティング疑惑により、彼はFA(イングランド・フットボール協会)から正式に起訴されており、キャリアを揺るがす局面に立たされている。フットボール界からの永久追放という最悪のシナリオも取り沙汰される中、彼の心は「新たな出発」に向いている可能性が高い。
英『The Sun』によれば、ルーカス・パケタはフラメンゴへの移籍に強い関心を持っており、同クラブも獲得に前向きなようだ。2024年6月20日、自身のInstagramストーリーにフラメンゴがチェルシーを破った試合での得点シーンを投稿。そこには「Isso é Flamengo(これがフラメンゴだ)」とのキャプションが添えられ、単なる懐かしさではない強いメッセージ性を感じさせた。
一方で、ウェストハムでは昨季から続くベッティング疑惑の影響を強く受けており、プレー面でも精神面でも本来のパフォーマンスを発揮できない状況が続いている。2023年8月に始まった調査は、2022年と2023年の4試合での意図的なイエローカード取得が対象で、FAは2024年5月に正式起訴へと踏み切った。
この問題について、グラハム・ポッター監督も言及しており、「彼にとって非常に大きな負担になっている。プレッシャーやストレスが異なる形で表れているのは明らかだ」と、パケタのメンタル面を気遣うコメントを残している。
今夏の移籍市場では、金銭的条件に秀でたサウジアラビア勢の関心に加え、かつてその才能を高く評価していたマンチェスター・シティが再接近する可能性も指摘されているが、本人は欧州のトップクラブよりも「心の帰る場所」に魅力を感じているようだ。
ウェストハム再建とパケタ売却の現実的選択
ルーカス・パケタの退団は、ウェストハムにとっても単なる戦力流出ではなく、戦略的再建の一環として捉えられている。クラブは約3000万ポンドの移籍金を得ることで、ポッター体制にフィットする新戦力の補強資金を捻出する見込みだ。
昨季は監督交代という大きな転換点を迎え、クラブは新たな方向性を模索している最中にある。ポッター監督はボール保持を重視するスタイルを志向しており、戦術的再構築には適材適所の人員入れ替えが不可欠とされる。その文脈において、ベッティング疑惑の渦中にあるパケタの放出は、本人にとってもクラブにとっても理にかなった決断となる可能性がある。
プレミアリーグでの生き残りと上位進出を見据えるウェストハムにとって、今夏の移籍市場はまさに未来への布石となる。ルーカス・パケタという才能が、故郷で新たな一歩を踏み出すのか。それとも欧州の舞台に留まるのか。