2023年夏、巨額の移籍金でアタランタから加入したラスムス・ホイルンドだが、2024-25シーズンはプレミアリーグでわずか4ゴールと結果を残せず、期待外れの評価が付きまとっている。わずか22歳という若さもあり、時間が必要との声もあるものの、クラブ内では早くも「計画の見直し」を求める動きが見え隠れしている。
インテル・ミラノやACミランといったイタリアのクラブがホイルンド獲得に関心を示している一方で、選手自身は今月の代表戦後にユナイテッド残留を宣言。2028年まで契約が残ることを強調し、憶測を一蹴した。だが、現実としてはクラブが別のストライカーを探しているという事実が、すでに事態の深刻さを物語っている。
ターゲットとなっているのは、アストン・ヴィラで確かな結果を残してきたオリー・ワトキンス。2024-25シーズンは16ゴール8アシストを記録し、攻撃陣の軸としてヨーロッパリーグ出場権確保に大きく貢献。イングランド代表としても5ゴールを挙げるなど、国内外でその実力は証明済みだ。
英『The Athletic』の報道によると、すでにユナイテッドは代理人を通じて接触を図ったとされており、本格的な交渉に発展する可能性が浮上している。
年齢と移籍金がネックに?それでも欲しい即戦力ストライカー
一方で、ワトキンス獲得には複数の障害が立ちはだかる。最大の課題は、6000万ポンドとされる評価額だ。今年1月にはアーセナルが獲得を試みたが、この金額に折り合いがつかずに交渉が決裂。ユナイテッドも同様の壁に直面することは避けられないだろう。
また、現在29歳のワトキンスは、クラブが掲げる「若手中心」の方針から外れる存在でもある。ジム・ラトクリフ体制の下、20代前半の有望株への投資を重視してきたユナイテッドにとって、ワトキンスの加入はある種の方針転換を意味する。
ただし、ルベン・アモリム新監督は即戦力の補強に積極的で、過去にもスポルティングCPで中堅選手の力を引き出してきた実績を持つ。クラブ内でもアモリムの戦術を機能させるためには成熟したフィニッシャーが必要との意見が強まっており、ワトキンスへの関心はその延長線上にある。
実際、2023年夏にはホイルンド獲得と並行してワトキンスもリストアップされており、今回が初めての関心ではない。
なお、ユナイテッドはワトキンス以外にも、ヴィクトル・ギョケレス(スポルティングCP)やヴィクター・オシムヘン(ナポリ)といった大型ストライカーにも興味を示しているものの、いずれも移籍金や給与面でのハードルが高く、交渉は難航。現実的なターゲットとしてワトキンスの名が再浮上してきた形だ。
さらに、今夏にはマテウス・クーニャを6250万ポンドで獲得し、ブレントフォードのブライアン・ムベウモにもオファーを提示するなど、クラブは前線補強に全力を注いでいる。
アストン・ヴィラ側としても、プレミアリーグのPSR(収益性と持続可能性)規則をクリアするため、ワトキンス売却による資金確保は有力な選択肢。すでに女子チーム売却の一時停止など財政的調整を進めており、今後の交渉次第では放出の可能性も高まってくるだろう。