トッテナム・ホットスパーが、ウェストハム・ユナイテッドに所属するガーナ代表モハメド・クドゥスの獲得に動き出した。ロンドンを本拠地とする両クラブの間には長年にわたるライバル関係が存在しており、もし今回の移籍が実現すれば2011年のスコット・パーカー以来、実に14年ぶりの直接取引となる。
英『The Telegraph』によると、スパーズの新指揮官トーマス・フランクが補強リストの最上位に据えるのがクドゥスのようだ。昨季プレミアリーグで14位と大苦戦したウェストハムにあって、公式戦14ゴールを記録。とりわけヨーロッパリーグでのフライブルク戦では、鮮烈なドリブル突破からの得点がクラブの年間最優秀ゴールに選出された。
攻撃的ポジションでの高い汎用性と、欧州カップ戦での豊富な経験を併せ持つ24歳。かつてアヤックスでのプレー経験を持ち、ウイング、ストライカー、トップ下までこなすクドゥスの多才さは、フランク監督の柔軟な戦術を支えるピースとなり得る。クラブとしては、ソン・フンミンの去就が不透明な中、攻撃陣の再編が急務となっている。
クドゥス争奪戦の行方と、注目集まるロンドン間取引
注目されるのは、やはり“禁断の移籍”とされてきた両クラブ間の取引が実現するかどうかだ。2015年にはトッテナムのダニエル・レヴィ会長がエマニュエル・アデバヨールのウェストハム行きを阻止した過去もあり、直接交渉は長らくタブー視されてきた。
ただ今回は状況が異なる。ウェストハムは今夏の移籍市場で資金確保を目指しており、クドゥスに設定された8500万ポンドのリリース条項よりも低い金額での売却も視野に入れているとされる。スパーズ側はこの点に付け入り、より現実的なオファーを準備中とも報じられている。
さらに、クドゥス本人もチャンピオンズリーグ出場権を持つクラブへの移籍に前向きであり、ロンドン・スタジアムを去る可能性は日に日に高まっている。
なお、トッテナムはクドゥス以外にも複数の攻撃的選手とリンクされてきたが、ブレントフォードのブライアン・ムベウモはマンチェスター・ユナイテッドへの移籍を希望しており、ボーンマスのアントワーヌ・セメニョやクリスタルパレスのエベレチ・エゼも獲得のハードルが高いとみられる。その中で、クドゥスは最も現実的なターゲットと目されている。
スパーズが14年ぶりの“タブー”を破り、クドゥスをトッテナム・ホットスパー・スタジアムに迎え入れる日は近いのかもしれない。