信頼性の高い移籍情報で知られるサースデイ英『The Athletic』のデイビッド・オーンスタイン氏が、ハーヴェイ・エリオットを巡るリバプールのスタンスについて注目すべき発言を行った。彼の見立てによれば、リバプールは若き攻撃的MFの今夏退団に現実的な構えを見せており、その条件面に戦略的な意図がにじんでいる。
オーンスタイン氏が『Transfer Dealsheet』内で語った内容によると、リバプールはエリオットに対して最低でも4000万ポンド以上の移籍金を要求。さらに、将来的な再獲得を視野に入れた買い戻しオプションを含めるか否かによって金額は変動し、オプションなしの場合には5000万ポンド以上を求める姿勢だという。
この設定は、かつて150万ポンド(出来高込みで最大280万ポンド)でフラムから獲得した当時の評価額を遥かに上回る。クラブとしても、イングランドU-21代表として欧州選手権でMVPに輝いたばかりのエリオットに対し、依然として高い評価を抱いていることの表れだ。
リバプールはただの放出に留めることなく、将来の選手キャリアをある程度コントロールできるような形を模索している。これは、ジャレル・クアンサーや他の若手選手に対しても適用される方針で、才能ある若手を完全に手放すことなく、将来的な戦力と捉えていることを意味する。
実際、エリオットには複数クラブから関心が寄せられており、RBライプツィヒが有力候補として浮上。さらに、プレミアリーグ内ではチェルシーやニューカッスル・ユナイテッドが具体的なオファーを準備しているとされており、エリオット自身もチャンピオンズリーグ出場を果たすようなクラブでのプレーを希望しているという。
エリオットが直面する現実と移籍の必然性
スロット新監督の下で迎えた2024-25シーズン、エリオットの出場機会は大きく制限された。プレミアリーグでの先発はわずか2試合、公式戦での出場時間も822分にとどまり、クロップ政権下で記録した2,776分からは激減している。
これに対し、ヘンリー・ウィンター氏やジョー・コール氏といった識者たちは、才能の無駄遣いを避けるためにも移籍を勧めており、オーンスタイン氏の報道もその流れに沿った形となった。
リバプールは今夏すでに大型補強を実現。フロリアン・ヴィルツ、ミロシュ・ケルケズ、ジェレミー・フリンポンらが加入し、守備ではマルク・グエヒの獲得が目前とされている。こうした新戦力の流入により、既存戦力との競争は一層激しさを増している。
一方で、エリオットのようなホームグロウン選手の放出が続けば、スカッド構成に影響を及ぼすことも避けられない。昨季すでに4人のホームグロウン選手が退団しており、グエヒの加入がそれを補完する形になるかどうかが注目されている。
22歳の攻撃的ミッドフィルダーはクラブに残るか、新天地で飛躍の機会をつかむか。その選択は、リバプールの中期的な戦略だけでなく、彼自身のキャリア形成にとっても極めて重要な局面となる。