アーセナルとトッテナムというロンドンのライバル同士による静かな駆け引きが、水面下で進行している。ターゲットとなっているのは、RBライプツィヒに所属するスロベニア代表FWベンヤミン・シェシュコ。若くしてブンデスリーガで頭角を現した22歳のストライカーは、アーセナルにとって攻撃陣の再構築を見据えた重要なピースだ。
英『FourFourTwo』によれば、RBライプツィヒはシェシュコに7000万ポンドの値札をつけており、アーセナルの補強部門を率いるアンドレア・ベルタが交渉の先頭に立っているという。ただし、移籍成立の裏で、トッテナムによる一手が影響を及ぼす可能性があると報じられている。
トーマス・フランク新監督を迎えたスパーズは、守備陣の立て直しを急務としており、その注目の的となっているのが、同じRBライプツィヒに所属するフランス人DFカステッロ・ルケバだ。リヴァプールやバイエルン・ミュンヘンも関心を示している逸材だが、トッテナムはこの若きセンターバックを巡る争奪戦に本腰を入れようとしている。
この動きがシェシュコの去就にどう影響するのか。鍵を握るのは、ルケバに設定された9000万ユーロの契約解除条項。もしトッテナムがこの金額でルケバを買い取るようなことがあれば、ライプツィヒは一気に資金面での余裕を手に入れることになる。
そして、それが意味するのは、クラブがシェシュコの放出に慎重になる。必要な資金をすでに確保できていれば、アーセナルからのオファーに応じる動機は薄れる。つまり、ルケバ獲得によってライプツィヒの資金繰りが改善されれば、アーセナルが狙うシェシュコの移籍は一転して難航する可能性がある。トッテナムによる巧妙な移籍戦略が、ここにきて静かに効果を発揮し始めている。
トッテナムとライプツィヒ、それぞれの補強事情と今後の展望
昨季のブンデスリーガを7位で終えたライプツィヒは、欧州カップ戦の出場権を逃し、主力選手の流出リスクに晒されている。シェシュコやルケバといった若手有望株には、多くのビッグクラブが興味を示しており、クラブは適正な移籍金を提示された場合、売却に踏み切る可能性が高い。
一方、トッテナムは昨季、プレミアリーグで17位と苦戦。アンジェ・ポステコグルー前監督のもとでトップチームは守備の脆さを露呈し、複数の負傷者にも悩まされた。新指揮官のフランクは、守備の強化を急務と考えており、ルケバのような将来性のある選手はまさに理想的なターゲットだ。
選手本人も移籍に前向きで、さらなる成長と代表定着を目指す意志を明らかにしている。フランス代表のディディエ・デシャン監督へのアピールを兼ねて、より高いレベルでのプレーを望んでいるという。
シェシュコに関しては、英『FourFourTwo』が今夏でのライプツィヒ退団の可能性を伝えているが、その移籍先がアーセナルになるかは依然として不透明。トッテナムによる間接的な妨害、ライプツィヒの財政状況、そしてシェシュコ自身のキャリアプランといった複雑な要因が、最終的な決断に影響を与えることになる。