今夏の移籍市場において、センターバックの補強を急ぐニューカッスル・ユナイテッドが、再びあの名をリストアップしているようだ。ACミランに所属するドイツ代表DFマリック・ティアウ。昨年も強い関心を示していた23歳の逸材に対し、再接近の可能性が浮上している。
長年守備の屋台骨を支えたファビアン・シェアの後継者探しは続いており、これまでクリスタル・パレスのマルク・グエイや、リヴァプール所属のジャレル・クアンサーらがターゲットに挙がっていた。しかし、グエイにはリヴァプールも強い関心を示しており、交渉は難航。クアンサーはすでにバイエル・レバークーゼンに移籍済みと、補強の計画は思うように進んでいない。
そんな中、ティアウをめぐる移籍劇が新たな展開を見せている。
コモ移籍は頓挫、欧州カップ戦への想いが交渉を左右か
本来なら、ティアウは今夏、セリエAの新興勢力コモへの加入が決定的と見られていた。ACミランとコモの間では、移籍金2500万ユーロで基本合意に達していたが、選手本人は個人条件を拒否。取引が停滞していると報じられている。
移籍専門家ファブリツィオ・ロマーノ氏は、自身のYouTubeチャンネルにて、ティアウの移籍が「暗礁に乗り上げている」と発言。さらに「プレミアリーグからの評価もある」と付け加え、ニューカッスルの関与の可能性を示唆した。
イタリア人記者マッテオ・モレット氏も、「ティアウは欧州カップ戦でのプレーを望んでおり、ニューカッスルに注目してほしい」と伝えている。昨季のコモはセリエA昇格を果たしたばかりで、欧州大会への出場権はなし。一方のニューカッスルは、来季のUEFAコンペティション出場を狙うクラブの一つであり、ティアウにとっては魅力的な選択肢となるだろう。
ニューカッスルは昨夏にもティアウに関心を寄せていたが、今夏は表立った動きが見られていない。このことから、ティアウの名前が他のターゲットとの交渉を進めるための「煙幕」だった可能性も取り沙汰されている。
ただし、ロマーノ氏は「彼がプレミアリーグでプレーする可能性は現実的であり、ニューカッスルは今も彼を評価している」と語っている。
23歳のティアウは、右利きのセンターバックで、スピードとフィジカルに優れ、戦術理解度も高い。チャンピオンズリーグでも実績があり、2023年にはサン・シーロでニューカッスル相手に印象的なプレーを見せた。
現在の状況は、ニューカッスルにとってまさに“ハイジャック”の好機とも言える。ティアウが欧州でのプレーを優先する姿勢を崩さない中で、欧州大会出場を目指すクラブにとっては交渉を優位に進める材料となる。
しかも、ACミランとの間で合意済みの移籍金は2500万ユーロと、プレミアリーグの中堅クラブにとっては決して高額ではない水準。リスクとリターンのバランスを見れば、ニューカッスルにとって理想的な補強対象の一人となる。
守備陣の再構築を急ぐマグパイズにとって、ティアウの獲得は即戦力でありながら将来性も見込める補強となるはずだ。今のタイミングで動かなければ、再び競合クラブに先を越される可能性も否定できないが、はたしてティアウを巡る移籍劇はどのような決着を迎えるのか。