TSG1899ホッフェンハイムに所属するドイツ人MFアントン・シュタッハの去就がにわかに注目を集めている。独『Kicker』によれば、イングランドのリーズ・ユナイテッドだけでなく、国内外の複数クラブが彼の獲得に関心を示していると伝えられており、その評価は日に日に高まっている。
2023-24シーズンのブンデスリーガで安定したパフォーマンスを披露したシュタッハは、中盤での多機能性とドイツ代表経験を併せ持つ希少な存在。今夏の移籍が現実味を帯びている背景には、クラブ側の事情と、ブンデスリーガに根付く効率性の価値観が絡み合っている。
移籍金が鍵を握るホッフェンハイムの再建とシュタッハの選択肢
ホッフェンハイムのスポーティングディレクターであるアンドレアス・シッカーは、シュタッハが今のクラブで最も高額な移籍金を見込める選手であると明かしており、放出の可能性は高い。移籍金が二桁ミリオンに達することが期待されており、クラブ財政の安定とチーム再編を進めるうえで、彼の売却は避けて通れない選択となる。
プレミアリーグ昇格を果たしたリーズ・ユナイテッドが関心を寄せているのは周知の事実だが、ブンデスリーガ内でもアイントラハト・フランクフルトが水面下で動いている。国外移籍か、国内クラブでの再出発か。26歳のシュタッハにとって、今夏の決断はキャリアの分岐点となりそうだ。
一方で、ホッフェンハイム内部にはより根深い問題がある。クラブは昨季ギリギリで1部残留を決めたが、過剰なチーム構成や経営判断の迷走により、ドイツの主要メディアから厳しい評価を受けている。現在のチームは驚きの39選手に達している。
ドイツでは30〜32名程度の編成が理想とされており、この数を大きく上回る現状は、競争を過度に煽り、チーム内の一体感や育成システムに悪影響を与えると指摘されている。
ホッフェンハイムにとってこの夏は、ただ単に選手の入れ替えではなく、クラブの信用回復と未来への土台作りが問われる重要なタイミングだ。ドイツ国内での信頼を取り戻すには、チーム人数の最適化だけでなく、ピッチ上での結果が求められる。
その中で、アントン・シュタッハがどのクラブを新天地に選ぶのか。その決断が、自身のキャリアにどのような影響を与えるのか。ブンデスリーガの構造的課題と絡み合いながら、今後もこの動向には大きな注目が集まる。