2025年夏の移籍市場は、リバプールにとって例年とは大きく異なる雰囲気に包まれている。クラブに深い悲しみをもたらしたジオゴ・ジョタとその兄アンドレ・シウバの悲報は、チームやサポーターに計り知れない衝撃を与えた。そんな中でも、9月のマーケット閉幕までに戦力補強を進めなければならないという現実が、クラブの決断を迫っている。
この夏、リバプールの補強ポイントとして特に注目されているのがセンターバックのポジションだ。バイエル・レバークーゼンへ旅立ったジャレル・クアンサーの穴埋めは急務であり、複数の候補がリストアップされている中で、イタリアの若き才能ジョルジョ・スカルヴィーニの名前が浮上している。
若きイタリア代表DFを巡る争奪戦、リバプールの立場は?
アタランタでトップチーム通算100試合以上に出場し、イタリア代表としても既に8キャップを刻むジョルジョ・スカルヴィーニ。21歳にしてその完成度は高く、将来のスター候補としてヨーロッパ中の注目を集めている。
英『TRB Football』グレアム・ベイリー氏によれば、スカルヴィーニはリバプールにとって完璧な選択肢だと語った。彼のビルドアップ能力や対人守備の強さはユルゲン・クロップ時代のDNAを色濃く残す現チームにおいても理想的であり、リチャード・ヒューズSDのイタリア人脈が、交渉を後押しする可能性も指摘されている。
しかし、問題はその移籍金にある。ベイリー氏は「4000万〜5000万ポンドは下らない」とし、これは現在のリバプールが掲げる移籍戦略からは逸脱する可能性があると報じた。また、スカルヴィーニは2024年11月に前十字靭帯の大怪我から復帰した直後、今度は肩を負傷。シーズン後半を棒に振ったこの2つの負傷歴は、リスクとして無視できない。
ベイリー氏も「彼は優れた才能だが、フィットネス面でのリスクが2つもある状態で、今すぐリバプールが手を出すとは思えない」と慎重な見方を示している。
一方で、獲得レースにおいてリードしていると見られているのがニューカッスルだ。ファブリツィオ・ロマーノ氏は、7月5日時点でニューカッスルがすでにアタランタに対し初期のアプローチを行ったと報道。スカルヴィーニは同クラブのショートリストにおける主要ターゲットであり、積極的な動きが始まっているという。
リバプールはジョッタの悲劇を乗り越え、移籍市場においてどのような意思決定を下すのかは未だ不透明だ。スカルヴィーニのような逸材を前に、リスクと投資のバランスをどう判断するのか。