イングランド国内ではクリスタル・パレスの攻撃的ミッドフィールダー、エベレチ・エゼを巡る動きが静かに注目を集めている。英『Independent』の報道によれば、リヴァプールは過去から同選手に関心を持ち続けており、今夏その興味が再燃する可能性があるようだ。
エゼは現在27歳。プレミアリーグで着実に実績を積み上げてきた攻撃の万能型プレーヤーであり、左ウイングからトップ下、中盤での組み立てまで幅広く対応可能な点が評価されている。特に昨シーズンのパフォーマンスは際立っており、イングランド代表にも選出されるなど、評価はうなぎ登りだ。
契約解除金は約6000万ポンドに設定されており、クリスタル・パレスとの契約は2027年夏まで残っている。アーセナルはすでに関心を公にしており、移籍金の3分割による支払いを検討するなど、具体的な交渉に入っている様子。ミケル・アルテタ監督は、エゼをブカヨ・サカの控えとしてだけでなく、攻撃陣全体の柔軟性を高めるキープレーヤーとして見ている。
ジョタの悲報と既存戦力の不確実性が招く補強の再考
リヴァプールはこの夏、すでにフロリアン・ヴィルツらを加えるなど、精力的な補強活動を展開している。だが、その裏側ではクラブに深い衝撃を与えた悲報もあった。ディエゴ・ジョッタの訃報。予期せぬ出来事がチームの攻撃陣構成に再考を迫り、アルネ・スロット監督の構想にも直接的な影響を及ぼしている。
現有戦力の将来も不透明だ。ダルウィン・ヌニェスには他国クラブの視線が注がれ、ルイス・ディアスに至ってはバルセロナおよびバイエルン・ミュンヘンとの交渉が進んでいる。これらの要因を踏まえると、エゼのように即戦力かつ多才な選手を加える意義は極めて大きい。
加えて、エゼはイングランド国内クラブで育成された「ホームグロウン」要件を満たしており、リバプールの強化ポイントとも合致する。アカデミー出身ではないものの、アーセナルやフラム、ミルウォールなどを経ており、規定に照らしても資格を満たす形となっている。
現時点で、クリスタル・パレスに対し正式なオファーを提示したクラブはないとされているが、リヴァプールがこの状況を静かに見守っている可能性は高い。仮にアーセナルが交渉を進めるなかでリヴァプールが本格的に参入すれば、市場での影響力を示す格好の機会にもなる。
アルテタ体制のアーセナルは昨季リヴァプールに8ポイント差をつけられており、今季はそれ以上の後退を許容できない状況だ。
一方で、リヴァプールにとっても、ライバルの補強計画を牽制しつつ、攻撃的な戦力の層を厚くするチャンスは見逃せない。エゼの第一希望がアーセナルであると伝えられる中でも、最終的な決断は所属クラブ、条件、そしてリヴァプール側の本気度次第だ。
プレミアリーグ全体の勢力図をも揺るがす可能性を秘めたエベレチ・エゼ争奪戦の行方は、サッカーファンにとって気になること間違いなし。